移動スーパー「とくし丸」はなぜ“独走”しているのか 1000台突破の舞台裏:週末に「へえ」な話(1/5 ページ)
移動スーパー「とくし丸」の業績が好調である。クルマの稼働台数はぐんぐん伸びていて、売り上げも右肩上がり。「買い物難民をなんとかできないか」といったコンセプトでスタートしたこのビジネスは、なぜここ数年で伸びているのだろうか。同社の社長に話を聞いたところ……。
とくとくと〜く、とくし丸〜♪
軽快な音楽を流しながら軽トラックが走っているのを見たことはないだろうか。生鮮食品などを販売している移動スーパー「とくし丸」が“快走”していて、クルマの稼働台数が1000台を超えたのだ(2022年5月末)。とはいえ、利用者の9割は80代以上の人たちなので、「買ったことがないなあ」「見たこともないよ」といった向きも多いかもしれない。
とくし丸が“産声”をあげたのは、2012年1月のこと。その昔、移動販売といえば、豆腐屋さんが豆腐を販売していたり、養鶏場が卵を売っていたり、扱っている商品は絞りに絞っているところが多かったが、同社は違う。生鮮食品や日用品など400品目ほど扱っているので、さながらミニミニスーパーといった感じである。
ビジネスモデルはどうなっているのかというと、同社は総合スーパーや地域のスーパーと契約して、移動スーパーのノウハウなどを提供する。一方のスーパーは、クルマ一台につき契約金50万円と月3万円のロイヤリティーを支払う。クルマに商品を積んで、お客のところに届けるのは「販売パートナー」である。販売パートナーは約350万円でクルマを購入して、スーパーの商品を販売するといった流れである。
とくし丸で扱っている商品は、スーパーで販売している価格に、10円または20円上乗せしている。ネットスーパーなどでは「配送料」を設定しているところが多いが、とくし丸の場合は週2回のペースで自宅に訪問しているので、その“手数料”といった感覚に近い。
スーパーと販売パートナーは商品の粗利益と手数料を分け合っていて、ドライバーの平均年収は500万円ほどだという。販売パートナーは「販売を代行」している形になるので、売れ残った商品は返品でき、受け取ったスーパーはそれらの商品を値引きなどして販売することができる。
月間流通総額をみると、21年12月に20億円を超え、その年の流通総額は212億円を達成し、前年比+140%に。日販平均も10万円を超えていて、「年間を通して安定的に推移している」(とくし丸の担当者)という。
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