JTのオフィスにある「“たばこ”のないたばこ部屋」とは? 移転でこだわった「交流を促す仕掛け」:オフィス探訪(JT後編)(4/4 ページ)
2020年10月に本社を移転したJT。ABW(Activity Based Working)を導入し、従業員が働く場を自由に選択できる働き方を目指している。ユニークな設計を細部にまで施し、従業員の働きやすさを追求した本社オフィスを訪ねた。
非喫煙者も一緒にコミュニケーション「烟(けぶる)」
26階には、従業員有志が発案したアイディエーションルーム「烟(けぶる)」がある。たばこ産業が主要な事業である同社。これまで喫煙所でコミュニケーションをとっていた従業員も多かった。しかし時代が変化するなか、非喫煙者の従業員が増えてきたことで、喫煙所に代わる「“たばこ”のないたばこ部屋」として、喫煙・非喫煙の垣根を超えたコミュニケーションを取れる場所を目指して設置された。
ライティングと水蒸気によって焚火のような演出を施し、心理的安全性の高い環境を生み出したという。
同社が出社とテレワークを自由に選択できる働き方を推奨していることと、まん延防止等重点措置が明けてから日が浅いこともあり、現在の出社率は全体の30%程度。そのため、まだオフィスの全貌を知らない社員も多く、施設の仕掛けを全て使い切れていないという印象。今後、「WP Search」による人流データが集まってくれば、使用率が低いワークスペースは変更・アップデートを行っていくという。
【編集後記】今回の取材を通して、今後のオフィス環境を考えた際は、企業側がいかに従業員に付加価値を提供できるかがカギになりそうだと感じた。そのため、オフィスは従業員の使いやすさを徹底的に考えぬくことが重要。その点、JTはまさに至れり尽くせり。筆者は見学を通して、オフィスというよりは、豪華なコワーキングスペースという印象をもった。今回のオフィス移転により、今後JTからどんな独創的なビジネスが生まれるか楽しみだ。
著者プロフィール
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
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