西九州新幹線時刻表「かもめ」に謎の欠番、列車ダイヤを見て分かってきたこと:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/8 ページ)
武雄温泉〜長崎間を結ぶ西九州新幹線の時刻表が発表された。鉄道事業では、線路、駅、車両というハード面と同じくらい、利用者の使いやすさや需要を考慮して決定される「ダイヤ」というソフト面も重要だ。ダイヤを見れば、地域の特性や事業者がその路線に期待することが見えてくる。
かもめのダイヤは増発を考慮
JR九州の報道資料によると、『西九州新幹線は1日当たり47本の「かもめ」を運転します。片道1時間当たり、朝・夕通勤時間帯は2本、日中時間帯は1本運転します』とある。
西九州新幹線の時刻表を見ると、下りは6時台から8時台で1時間当たり5本、上りは4本、日中はほぼ1時間おき。夜間は少し運行間隔が詰まる。長崎着7時31分の「かもめ1号」が新幹線効果を現している。博多発6時ちょうどの「リレーかもめ1号」から乗り換えられる。現在の「(在来線)かもめ1号」は博多発5時55分、長崎着8時1分だ。新幹線の所要時間30分短縮の効果が分かりやすい。
新大村〜長崎間の区間列車が6時台と8時台に1本ずつある。これは通勤通学需要を想定した列車だ。新大村駅は西九州新幹線と在来線の大村線の交点で、大村線にも駅ができる。
現在、新大村駅の隣の諏訪駅と長崎駅の所要時間は約1時間。新幹線だと16分だ。列車名は「かもめ101号」「かもめ103号」と100番台が与えられた。長崎県内を走り、全区間を走る列車とは異なる位置づけだ。特に「かもめ103号」は「かもめ3号」の10分後に続行運転する。博多発の列車が満席でも、通勤通学客が座れるように配慮した。
もっとも、760円の運賃のほかに870円の自由席特急料金が必要だから、毎日の通勤通学にとって負担が大きい。利用してもらうには新幹線定期券などの割引施策が必要になるはずで、いずれ発表されるだろう。
九州新幹線の博多〜久留米間が同じ運賃+自由席特急料金で、通勤定期(新幹線エクセルパス)は4万6890円。新幹線を使わない定期運賃の2倍以上だけど、週休2日で22日間通勤するとして1日当たり2131円。片道1065円となる。普通運賃プラス300円で新幹線に乗れる計算だ。通学定期だともっと安い。
これなら通勤通学に使えそうと思うか、約45分の短縮としては割高と思うか。実は利用者が少なくても構わない。「かもめ101号」「かもめ103号」は、新大村車両基地から長崎駅まで回送する列車を通勤通学列車としてサービスしているからだ。
ところで、時刻表の新幹線「かもめ○号」に欠番がある。JRの列車は下りが奇数号、上りが偶数号というルールがあって、下りは「1号」「3号」「5号」……となる。下り「かもめ5号」の次は「かもめ9号」で「かもめ7号」がない。同様に「かもめ11号」「かもめ15号」……と欠番があり、上りも「かもめ4号」の次は「かもめ8号」で「かもめ6号」がなく、以降も欠番が見つかる。
これらの欠番の正体は「臨時列車」だ。報道資料では「※お客さまのご利用が見込まれる日は、臨時列車を運転します」とある。運行計画には組み込まれているけれど、多客期のみ運行する。運転日は決まっていないから、今回のダイヤ発表では、あえて伏せたようだ。
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