「商談は手ごたえあり」なのに失注 何が原因?:新人営業の悩み(2/2 ページ)
商談中に「今回はうまく説明できている」と感じるときがある。しかし、そんな時に限って「検討してみます」と逃げられてしまい、結局失注……。何が原因なのだろうか?
商談中に話が途切れるのが怖い
自分が商品を買う立場になって考えてみよう。何かを購入しようとお店に行ったとする。店員が近づいてきて、次から次へと商品の特徴やスペックを話し出す。説明の途中で「聞きたいことがある」と思ったものの、質問をする隙間さえ与えてくれない。こんな状況になったらどうするだろうか? 話が途切れたタイミングを見計らって「また来ます」と逃げるようにその場を立ち去る人も少なくないだろう。
なぜこのような状況が発生するのか? 過去の筆者もそうだったのだが、「話が途切れるとお客さまが帰ってしまうのでは」という不安が営業側にあるように思う。
「でも商品について説明しないと納得して買ってもらえない」という意見があるのも分かる。しかし、商品の説明だけをしていても購入にはつながらない。その商品が顧客の課題を解決できるか、理想の実現をサポートできるかといったイメージを醸成させる必要がある。
商品特性を端的に1つか2つ伝え、「こういった機能はいかがでしょうか?」と質問を投げかけてみる。相手も「これは便利ですね」「その機能は必要ない」といった答えを返してくれるだろう。営業もコミュニケーションであり一方通行ではない。キャッチボールを意識し、相手が何に困っているのかを探り、その課題を解決できる機能を提案していくことが重要になる。
トップ営業の意外な共通点とは
トップ営業というと「流ちょうなトークで顧客のYESを引き出す」といったイメージかあるかもしれない。ふたを開けてみると、話し上手の人は多くはないことが分かる。筆者の知人である生命保険のトップ営業は無口で、コミュニケーション能力自体は高くない。しかし、相手の話を引き出すことに長けている。こちらが話し始めると、体ごと向き直り、大きくうなずく。さらには、「それってどういうことですか?」と話を広げてくれるのだ。「もっと話がしたい」という気分になり、「思わず余計なことまで話してしまった」と思うこともしばしばある。
聞き上手は、相槌やリアクションがいいだけではない。商談前の事前準備を徹底している。すでに商談する顧客の情報が分かっていれば、SNSをチェックし、相手が話しやすいであろう話題を複数用意している。
自分のことに興味を持ってもらい、「先日は〇〇へ行かれたんですね。どうでしたか?」などと話したい内容を振られたことに対し、不機嫌になる人は多くないだろう。「さっそくですが当社の商品はここが特徴でして〜」という商談トークをいきなり始めるより、簡単な会話を挟んだほうが、相手の話すハードルを下げられるので話を引き出しやすくなるだろう。
新規顧客で情報が集められなかったとしても、「趣味や食べ物などで、最近ハマっているものはありますか?」といった世間話はできる。どんな内容だとしても、会話のハードルを下げておくことが重要だ。そうすることで、相手が抱えている課題や提案の糸口が見えやすくなる。
トップ営業スタッフは商談を長引かせているのではなく、顧客が話すため自然に長くなっているのだ。相手に話させることが成約につながり、トップ営業を作っているといえる。
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