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なぜ増加した「転売ヤー」? 日本のiPhoneが狙われる房野麻子の「モバイルチェック」(4/4 ページ)

最近、携帯電話業界では、通常の価格よりも大幅に安く販売されているスマートフォンを入手し、それを自分で使わずに転売することで利益を得る、いわゆる「転売ヤー」が問題視されている。総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」でも対応が検討されているほどだ。

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新型iPhone、2割値上げされても世界中で最安

 しかし、端末単体の販売ばかりでは、キャリアも販売店も利益につながらない。ユーザーが回線契約をして毎月料金を支払ってくれることを期待して、キャリアは端末を割引いている。また販売代理店は、回線契約の獲得をキャリアから期待されている。

 総務省が覆面調査したところ、案の定、端末の単体販売を拒否する事例が見られ、総務省は各キャリアに是正を求めている。回線契約不要で端末を安く購入できることは確かに嬉しいことだが、それは転売ヤーにとって有利な状況が続くことでもある。

 また現在、円安が急激に進んでいることから海外の転売ヤーも引きつけている。MM総研の調査によると、日本のiPhoneの販売価格は世界34カ国の国・地域の中で最安だが、それに円安が重なり、相対的に日本のiPhoneはさらに安くなっている。


世界のiPhoneの販売価格。22年6月時点の各国のアップルオンラインストアの価格を比較した。対象モデルはiPhone 13 128Gバイト、iPhone 13 Pro Max 1Tバイト、iPhone SE(第3世代)64Gバイトの3モデル(出典:MM総研)

 MM総研はまた、今秋発売が期待される新型iPhoneは「最大2割の値上げも懸念される」と指摘している。ただ円安がこのまま続けば、それでも日本で販売される新型iPhoneは海外のものよりも安い可能性が高い。

 昨今の半導体不足、中国のロックダウンの影響などで、仮にiPhoneが品薄になるとすると、全世界の転売ヤーから日本の安いiPhoneが狙われるかもしれない。毎年、いち早く新しいiPhoneを入手しようとする人たちの間で、予約開始日や発売日はお祭り騒ぎになるが、今年は転売ヤーとの戦いが懸念される。

筆者プロフィール:房野麻子

大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。


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