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なぜ増加した「転売ヤー」? 日本のiPhoneが狙われる房野麻子の「モバイルチェック」(3/4 ページ)

最近、携帯電話業界では、通常の価格よりも大幅に安く販売されているスマートフォンを入手し、それを自分で使わずに転売することで利益を得る、いわゆる「転売ヤー」が問題視されている。総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」でも対応が検討されているほどだ。

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回線とのセット売りに制約 電気通信事業法の改正

 転売ヤーが目立ってきたこの状況は、電気通信事業法の改正が原因といわざるを得ない。かつては、携帯電話は回線とセットで販売され、端末を安く買うにはキャリアと長く契約していなければならなかった。いわゆる“2年縛り”だ。契約期間の途中で解約すると高額な契約解除料が求められた。

 しかし、キャリアが囲い込むことでユーザーの流動性が低く、携帯電話料金が高止まりしているとして総務省が問題視。競争環境を活性化させるべく施行されたのが19年の改正電気通信事業法だ。通信と端末を「完全分離」し、回線契約に伴う割引を制限。さらに、契約解除料を1000円以下に引き下げた。なお、大手携帯電話会社で現在、契約解除料を請求するところはない。

 さらに、21年10月には、原則SIMロックをかけることが禁止され、キャリア端末もSIMロックがかかっていない状態で販売されている。短期で解約しても契約解除料がかからず、MNPの手数料もかからない。買った端末にどのキャリアのSIMを入れても使える。MNPのハードルが限りなく低くなり、ユーザーがいつでも簡単にキャリアを乗り換えられる環境が整った。

 MNPが簡単にできることになって、キャリアのユーザー獲得競争が熾烈になった。回線契約を伴う割引に制限があるからこそ「店舗独自の割引」が大きくなって人気端末の大幅値引きとなり、誰でも安く人気のiPhoneを買える状態が転売ヤーを引きつけている。


量販店ではiPhoneが23円、1円といった値段で販売されている(3月筆者撮影)

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