なぜ増加した「転売ヤー」? 日本のiPhoneが狙われる:房野麻子の「モバイルチェック」(2/4 ページ)
最近、携帯電話業界では、通常の価格よりも大幅に安く販売されているスマートフォンを入手し、それを自分で使わずに転売することで利益を得る、いわゆる「転売ヤー」が問題視されている。総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」でも対応が検討されているほどだ。
なぜ転売ヤーが跋扈(ばっこ)するようになったのか
なぜ転売ヤーが跋扈(ばっこ)するようになったのか。それは、回線契約がなくても、大幅に割引された価格で端末を購入できるようになったためだ。例えば今年の春商戦、「iPhone SE(第3世代)」が「一括1円」で販売されたのは記憶に新しい。
この場合、1円で入手するにはMNP、つまり回線契約が必要だ。しかし、回線契約を条件とした割引のほかに、「店舗独自の割引」として3万円以上の大幅な割引が行われていた。2019年の改正電気通信事業法によって、回線契約を伴う端末購入の場合は割引の上限が原則、税抜2万円までに制限されているが、端末のみ販売する場合の値引きには特に制限がない。単なる物販だからだ。
人気端末のiPhoneが3万円以上も安く買える。しかも、開封しなければ中古ショップで高額で引き取ってもらえる。転売ヤーが目を付けるのは当然だろう。
転売ヤーの何が問題かといえば、人気端末が転売ヤーに買い占められ、その端末を本当に使いたいと望んでいる人が入手できない状況が起きていることだ。また、転売で得た利益が反社会的な目的に利用される恐れもあるとされる。総務省の資料では、転売ヤーに売らざるを得ないことが、販売代理店スタッフの心理的な負担となっていることも指摘されている。
また、MNPを利用すればさらに安く入手できることから、料金の安いMVNOを選び、すぐに解約することを繰り返す「ホッピングMNP」と呼ばれる行動がMVNOの業務負担となっており、これも問題視されている。実際に、MVNOで短期解約が増えたというデータもある。
関連記事
- 10万円もする「iPhone13 mini」がなぜ1円? そのカラクリを解明する
新生活が始まる春は、スマホが年間で最も売れる季節といわれる。最近は量販店で「iPhone 13 mini」や「iPhone 12 mini」が「実質23円」や「一括1円」と表示されていて話題になった。なぜ10万円もするiPhone13 miniの販売価格が1円となるのか? - シェア10% なぜ日本で「iPhone SE」がここまで人気なのか?
iPhoneの廉価モデル「iPhone SE」の第3世代モデルが、3月9日に発表された。日本のスマートフォンユーザーの約半分がiPhoneを使っているといわれるが、その中の2割に近いユーザーがiPhone SEを使っており、人気の高さがうかがえる。では、なぜ日本でこれほどiPhone SEが人気なのだろうか。 - 新型iPhone 14の機能を予想する 最新Androidの動向から分かるトレンド
2022年も秋には次世代iPhoneが発表されると予想されており、すでにさまざまな機能の搭載が噂されている。そこで、今期の高機能Androidスマートフォンのトレンドを見ながら、それらの噂が真実になるかどうかを予想してみたい。 - ドコモのahamoに「大盛り」 競合対抗の小盛りを用意しなかったワケ
NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が、オプション利用で月額4950円で100Gバイトまで使える「ahamo大盛り」を6月から開始する。 - ドコモも参入の中古スマホ販売、各社あの手この手の保証やサポート
MM総研の調査によると、中古スマホ市場は右肩上がり。2020年度の中古スマホ販売台数は185万台、前年度比13.5%増で過去最高を記録したが、25年には販売台数が268万台に上る見込みだという。そんな中、NTTドコモは3月23日から、同社認定リユース品「docomo Certified」の取り扱いを開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.