ターゲットはガチ勢! “本のホテル”4カ月でリピート率28%の秘密:3分インタビュー(1/3 ページ)
東京の神保町に、ユニークなホテルが登場した。ホテル名は「BOOK HOTEL 神保町」。建物にはたくさんの本が並んでいるが、なぜこのようなホテルを始めたのだろうか。運営をしているdot社の共同代表に話を聞いたところ……。
3分インタビュー:
「SNSで話題のあの商品はどうやって開発したの?」「なぜこの会社はこんな取り組みを進めているの?」ちょっと気になっていた企業の“なぜ”をコンパクトに紹介します。
サービスや製品に込めた思いや苦労話など、担当者にしか分からない「裏側」を徹底取材。仕事が忙しくて、じっくりと情報を得ることができない人でも読めるよう、できるだけ簡潔にまとめています。テレワーク中の息抜きや移動時間、就寝前に「3分インタビュー」でサクッと情報収集!
書店、古書店、出版社などが集まった東京の神保町に、ユニークなホテルが登場した。その名は「BOOK HOTEL 神保町」。建物の中に足を踏み入れると、左側に本棚があって、そこにたくさんの本がズラリと並んでいる。受付に行っても本がズラリ、廊下にもあるので、ひょっとして? と思っていたら、部屋の中にも並んでいる。
さて、この施設のコンセプトは「本の街をあじわい尽くすホテル」である。2021年12月1日にオープンしたところ、本好きの人を中心に利用者が増えていて、わずか4カ月の間に28%の人がリピートしているそうだ。また、6月には小学館と資本業務提携を結び、「コンテンツ型ホテルの経済圏を広げていく構え」(dot社)だという。
それにしても、なぜ本だらけの宿泊施設を始めたのだろうか。ホテルを運営しているdot社(東京都千代田区)で共同代表を務めている、御子柴雅慶さんに話を聞いた。
ホテル運営を始めたきっかけ
――21年12月に「BOOK HOTEL 神保町」がオープンしました。最大のウリは「本」ですよね。客室は2〜12階にあって、部屋数は32室。各フロアーの廊下に本棚があって、部屋の中にも本が並んでいる。このホテルに泊まると“読書漬け”を体験できそうですが、なぜこのような施設を始めようと思ったのでしょうか?
御子柴: 個人的に旅行が好きで、海外旅行をしたときに「民泊」が目に止まりました。まだ日本でのサービスが広がっていないときに、始めたところうまくいきまして。ただ、さまざまな規制が広がっていく中で、何か違うことはできないかと考えました。海外に行って、日本のイメージを聞くと、多くの人が「漫画」を口にするんですよね。日本が誇る文化産業は大きな武器になると思って、「漫画×ホテル」を運営することはできないかと考え、19年に「MANGA ART HOTEL, TOKYO」をオープンしました。
施設内に備え付けた本棚には、漫画だらけ。5000冊以上を用意して、ホテル運営を始めたところ、想定以上に人気を集めることができました。稼働率が100%になった日もありましたが、新型コロナの感染拡大の影響を受けて、売り上げは対前年比で9割ほど減少しまして。
これまでに経験したことがない事態が起きたので、多くの会社は「なんとかしなければいけない」「新しいことをすぐに始めなければいけない」といった感じで動かれていましたが、当社は「なにもしないこと」にしました。なぜか。ホテルは景気の影響をものすごく受けるので、逆風が吹いているときに「あれもやらなくちゃ、これもしなくちゃ」といった形で動いても、いいことはないのではないか。そのように考えていたので、「次にできることは何か」「そのためにできることは何か」といったことを頭の中で練っていました。
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