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高い賃料でも人気! 住居とお店が合体した「小商い物件」がじわじわ増えている理由:古い木造一戸建てが“人気物件”に(2/4 ページ)
高度経済成長期以来、長らく住まいと働く場の間には距離があった。だが、東日本大震災以降、その距離は縮まり始めており、コロナ禍を経て、一部ではぐんと近くなった。その代表的なものがリモートワークであり、街中で見かけるようになったものとしては「小商い」がある。
店舗付き住宅を専門に扱うWebサイトも登場
最初に出たのは「小商いのすすめ 『経済成長』から『縮小均衡』の時代へ」(平川克美著 ミシマ社)。続いて「ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方」(伊藤洋志著 東京書籍)、「小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本」(伊藤洋志著 風来社)などなど。
17年6月には1階に店舗、2階に住宅という店舗付き住宅を専門に扱う「商い暮らし」というWebサイトが登場。同年3月にはJR東日本の社宅を丸ごとリノベーション、1階に店舗2戸、店舗兼用住宅4戸が入った集合住宅も誕生した。
以降、新築、リノベーションいずれのケースでも小商いができるスペースを設けた建物は確実に増えてきている。
しかも、そうした建物は入居が決まるのが非常に早い。書籍でも紹介されている京急線大森町駅近くにある、昭和の木造長屋群をリノベーションした「大森ロッヂ」(東京都大田区)では、古い木造一戸建てを小商いや趣味に使える新棟「笑門の家」に改装した。
Webサイトに入居者募集の告知が出たのが4月19日で、24日には終了の告知である。この地域の一戸建てにしては高めの賃料でも一瞬で決まったのだ。それほどに小商いの引力(この場合には物件の引力も相当なもの)は強いのである。
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