先細りのガム、台頭するグミ 「お口の中」の主役が劇的に変化した理由(2/4 ページ)
ここ数年グミ市場が盛り上がっていることをご存じだろうか。明治の推計によると、2021年のグミの市場規模は約600億円超。この10年で約2倍に増加し、ガムや錠菓(タブレット菓子)、清涼菓子を逆転した。
コロナ禍で一時苦戦もV字回復
発売からじわじわとファンを増やしてきたグミだが、コロナ禍で外出する機会が激減すると、売り上げも大きく落とす結果となった。「巣ごもり需要」という言葉が出たように、ビスケットやチョコレート、ポテトチップスなどは支持を集めたが、外出先や仕事の合間で食べるグミやガムの売れ行きは苦戦。一時期はコンビニエンスストアのレジ横にびっしり並んでいたタブレット菓子の需要も激減してしまった。
しかし、21年に入り、その動きに大きな変化が現れた。ガムやタブレット菓子はそのまま縮小を続けたものの、グミはその独特な弾力のようにV字回復を果たしたのだ。なぜ、グミは回復してガムは右肩下がりを続けたのか。
「グミをどこで食べるか調査したところ、幸いなことに『自宅で』と回答する人が年々増えていました。また、グミを買うときに重視する点として『食感』と答える人が増加傾向にあることが分かりました。コロナ禍を機に、グミの特徴である『独特の食感』を好んで自宅で食べることが習慣化されつつあり、V字回復につながったと考えています」(吉川氏)
一方、ガムやタブレット菓子は口臭予防などの「エチケット」として購入していた人が多く、マスクを着用する機会が増えたことでそのニーズが激減。苦戦を続けている。特にガムは新型コロナが拡大する前から需要は減っていて、「口に入れたものを吐き出す」ことに抵抗を感じていた人も多かったという。
「25年ほど前に粒タイプのガムが登場し、当時は新しいユーザーの獲得も進みました。しかし、それ以降は新しい層を獲得できず、ここ10年程は既存のユーザーで何とか市場を維持している状況でした。コロナ禍もあり、その既存ユーザーもどんどん離脱しています」(吉川氏)
ここ数年で起きた急激な市場変化。十数年業界に身を置く吉川氏も、「これほど市場が動くことを見たことがない」と驚きを見せる。
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