スシローは「おとり広告」問題の本質を理解しているか おわび文書に“違和感”を覚えたワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
「スシロー」のおとり広告問題。筆者はスシロー運営会社の体質が、今回の問題と大きく影響しているのではないかと分析する。どういうことかというと……。
売り切れ御免はあり得ない
つい最近も、キャンペーン商品ではなかったが、とある店で「店内茹で本ずわいがに」(330円)をタッチパネルで注文したところ、品切れで提供できないと店員が謝りに来た。
また、先述した別の店では生うにと鶏せせり唐揚げが入荷待ちで提供できないと、店の外に張り紙がしてあった。実際に入店すると、「鮮魚3貫盛り」「たい」「漬けごま真鯛」「しまあじ」など、計10品ほどの商品が品切れを起こしていた。午後9時頃と遅めの来店ではあったが、生うにと鶏せせり唐揚げ以外は店の外に品切れの告知もなく、タッチパネルを見るまでは分からなかった。閉店するのは午後11時なので、来店した時間も悪かったが、ちょっと多過ぎるのではないだろうか。
繰り返すが、消費者庁ではキャンペーン商品ならば大々的に宣伝している以上、売り切れ御免はあり得ないとしている。
これだけ品切れが頻発すると、現場の感覚も麻痺(まひ)してしまって、宣伝を強化しているキャンペーン中の商品であっても気にならなくなるのも、むべなるかな。
前出のニュースレターによれば、おとり広告に認定された3品について、販売経験から算出した数量を上回る注文があったのが原因としている。しかし、実態は毎日のように仕入の需要予測が外れている。
おとり広告に認定された3品のケースをもう少し詳しく見てみよう。
「新物!濃厚うに包み」においては、9月14〜17日、ほとんどの店舗で販売を停止した。キャンペーン実施期間中、早期に完売する可能性があると判断したための措置だった。
販売を途中で止めた店は、国内594店中584店。実に98%の店に及んだ。
「匠の一皿 独創/とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」では、9月18〜20日の販売を停止した。これもキャンペーン実施期間中、早期に完売する可能性があると判断したための措置だった。
販売を途中で止めた店は、国内594店中572店。こちらも96%の店に及んでいる。
「冬の味覚!豪華かにづくし」に関しても、予想を超えた売れ行きとなってしまい、早期に完売した店舗が発生。一部店舗においてかかる表示を中止するなどの措置を講じていなかった。
販売を途中で止めた店は、国内604店中581店。これまた96%の店が該当する。
そればかりでなく、フライヤーの修理がコロナの影響で間に合わずに、最初から提供していない店が3店あった。スシローとしては前出ニュースレターで、店頭に「設備故障により販売していない」との告知をしていたから、最初から販売する意図がなかったとする一部報道に対して事実と異なる旨、反論している。
しかし、かにを目当てに来た顧客にしてみれば、店に来てはじめて提供できない事情を知るのでは、釈然としない。「詐欺」と断定するのは言い過ぎにしても、「だまされた」と思う人も出てきてしまう。消費者庁では、「一般消費者が店舗で販売していないと知る由がなかった」としておとり広告だと断定している。
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