「インターンシップ」小手先のルール見直し アンフェアな就活モード“押しつけ”の現状:教育プロセス全体の見直しを(1/4 ページ)
インターンシップを通して取得した学生情報を企業が広報・採用選考活動に活用することを可能にする政府のルール見直し。しかし、そもそもインターンシップは学生にとって仕事選びに有効な場になっているのだろうか。
経済産業省・文部科学省・厚生労働省の三省は、学生が関心のある企業で就業体験する「インターンシップ」の推進に当たって、基本的な考え方を改正したと発表しました。今の大学2年生より、一定の要件を満たしたインターンシップを通して取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能になるとのことです。
その内容について、NHKは6月14日、「インターンシップ ルール見直し 学生の評価を採用に活用可能に」と題したニュースで報じました。政府は「企業側にとっては採用活動をより効率的に行えるほか、学生側も企業からの情報を元に自分に合った就職先を検討できるなど、双方にメリットがある」と期待しているそうです。
ただ、インターンシップで取得した情報はこれまでも多くの会社が採用選考に活用していたことを考えると、今回の発表は現状追認の印象を受けます。また、インターンシップに参加した学生の情報を採用選考に活用できるのは大学4年の6月以降とのことですが、多くの会社が6月1日には早々に内々定を出している状況を考えると、今回の方針転換を経てもまだ、実情とのズレは残っていると感じます。
しかしもっと気になるのは、インターンシップが学生にとって、仕事選びに有効な経験を得られる場になっているのかという点です。さらにはインターンシップだけではなく、社会人になるまでの教育プロセス全体において、学生が最適な仕事を見つけられるように設計されているのか疑問です。
フィーリングで就職先を決めざるを得ない学生たち
大学、短期大学および高等専門学校卒業・修了予定者の就職活動においては、広報活動や採用選考の開始時期および内定日について取り決めた“就活ルール”があります。大学生の場合、3年生の3月から広報活動、4年生の6月から採用選考が開始され、10月に正式な内定が出る流れです。
しかし、実質的な選考開始となるインターンシップが始まるのは、大学3年の夏です。そのころから学生の生活は一変して就活モードに切り替わり、以下3つのSTEPに取り組むことになります。
STEP1 社会にどんな会社や職種があるのかを調査する
STEP2 自分には何ができるのか、自分は何がしたいのかを整理する
STEP3 採用選考を受け、入社する会社を決める
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