「インターンシップ」小手先のルール見直し アンフェアな就活モード“押しつけ”の現状:教育プロセス全体の見直しを(2/4 ページ)
インターンシップを通して取得した学生情報を企業が広報・採用選考活動に活用することを可能にする政府のルール見直し。しかし、そもそもインターンシップは学生にとって仕事選びに有効な場になっているのだろうか。
ところがいざ就活となった時、準備が整っていない学生は少なくありません。そのため、STEP1でいきなりつまずいてしまいます。予備知識がないため会社の特性がよく分からず、広告などで名前を知っている有名な会社ばかりに目が行きがちです。また、営業や経理といった職種のこともよく分からず、就活を進めながら少しずつ手探りで調べていくことになります。
STEP2についても、実際に就業した経験がないため具体的にイメージするのは困難です。自分に何ができて何がしたいのかの判断軸が明確に定まりません。そのため、これまで学んできた知識やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)などを通じて、自分にできそうだ、やってみたい気がする、といったあやふやな感覚を頼りに自己分析することになります。
STEP1と2がそのような状態だと、STEP3でも「これでいいのかな」と疑問を感じたまま進めることになります。縁あって複数社から内定が得られたとしても、どの会社が適しているのか判断できずフィーリングなどで決めることになりがちです。内定が得られた先が一社だと選択する余地さえありません。ご縁を信じて、エイヤでその会社に飛び込むことになります。
2週間程度の就業体験で十分な経験は得られない
そんな状況を少しでも改善するために、就業体験を通じて実際の職場を知ることで学生から社会人への橋渡しをスムーズにし、STEP1〜3をより充実させられる取り組みとして期待されるのがインターンシップな訳です。
冒頭で紹介した方針転換によって、三省によるインターンシップの定義は以下のように変更されました。
<旧定義>
「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」
<新定義>
「学生が、その仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を体験すること)を行う活動(ただし、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」
単に就業体験するだけに留まらず、目的として学生の仕事選びに生かすことを明記した点は一歩前進かもしれません。しかしながら、実施期間は汎用的能力活用型で5日、専門能力活用型では2週間あればよいとされています。
豊富な実務経験を有する会社の人事側が学生の適性を見極める分には、2週間どころか1dayインターンシップでもある程度は可能でしょう。しかし、実務経験のない学生側には、たった2週間程度の就業体験で自分に適した会社を選ぶことなど至難の業です。
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