JCB、最短5分の即時入会サービス開始 ナンバーレス、カードレスの土台も整う(2/2 ページ)
JCBは7月1日、最短5分で手続きが完了する即時入会サービスを7月4日から提供すると発表した。モバイルアプリを介して手続きをすべてオンラインで完結。入会後は、アプリ内でクレジットカード番号が確認でき、Apple PayやGoogle Payへ登録することですぐに買い物が可能になる。1〜2週間後にはプラスチックカードも送付される。
24時間対応の壁
JCBや三井住友カード、セゾンカードなどはいずれも最短5分で発行が可能だが、午前9時前後から午後8時前後までしか即時発行はできない。そこにはシステム的な理由もある。
クレジットカードの発行においては、指定信用情報機関であるCICへの照会が義務付けられている。ところが、CICへの照会は当初午前8時から午後10時までで、ほとんどのカード会社のシステムは、この時間に合わせて設計されている。2021年12月に、CICのAPIシステムが稼働し照会可能時間が翌午前1時まで延長された。しかし、各カード会社のシステムは必ずしもこれに合わせて対応可能時間が延長されているわけではない。
一方で、プリペイド方式のカードは即時の番号発行が時間帯を問わず可能で、そこに後払いサービスを組み合わせることで、ユーザーを待たせずに決済を可能にする仕組みが実現されている。また、従来ハードルの高かった証券口座の開設も、eKYCの活用とオンラインによる銀行口座認証を使い、LINE証券のように翌日には口座が開けるところが出てきた。
ナンバーレス、カードレスの土台にも
クレジットカードのもう一つのトレンドは、アプリ内でカード番号を発行するだけで、プラスチックカードに番号を記載しないナンバーレスや、プラスチックカード自体を発行しないカードレスのサービスだ。三井住友カードやセゾンカードは、すでにこの方向にかじを切っている。
JCBでは現在のところ、海外渡航時の問題や、プラスチックカードを使い慣れた世代を念頭に、カードレスを展開する計画はない。一方で、今回の即時入会サービスでアプリ内にカード番号を表示する仕組みをJCBとして初めて用意した。少なくとも技術的には、ナンバーレスやカードレスを実現する土台ができたことになる。
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