モデル化して考えるとはどういうことか──物事の仕組みを単純化してつかめ:物事を類型化(2/4 ページ)
モデル(model)とは模型を意味します。その字のごとく、「実物を模して(=真似て)形にしたもの」です。物事の構造や仕組み、関係性などを模型として単純化して表し、とらえやすくすること。それが「モデル化」です。
物事を類型化する訓練でモデル化の力を養う
私はコンセプチュアル思考の研修で、物事を類型化するワークをよく取り入れています。類型化とは、ある種の物事を共通する特徴や性質によって、より小さななかま(=類)に分けることです。
類型化の題材として例えば、「時計を類型化しなさい」とか「酒を類型化しなさい」のように物(モノ)を持ってくる場合があります。これは比較的簡単です。しかし、題材を「創造性を類型化しなさい」とか「幸福を類型化しなさい」などのように抽象的な概念をもってくると、難度が一気に増します。どんな基軸で創造性や幸福を切り取り、分けていくかには、とても多様な答えがあり、その人の思考の深さが試されるからです。
さて本稿では、「仕事の報酬」を題材にしたときの様子を紹介しましょう。私はこのワークを企業内研修で行っていますが、研修でなくとも、みなさんの職場で複数が集まってもできますし、個人でもできます。
【設問】
・作業1:「仕事の報酬」として思い浮かぶものをいくつもあげなさい。
・作業2:それら仕事の報酬を類型化し、1枚の図(絵)にまとめなさい。
「報酬」という言葉を辞書で調べると「労働に対する謝礼のお金や品物」などと出てきます。確かに報酬の第一義は勤労の対価としての金品です。しかし、仕事がそれを成し遂げた者に与えてくれるものは、金品だけではなさそうです。
研修の場合まず、作業1をグループでブレーンストーミングをやります。各自が付箋紙に仕事の報酬だと思うものをどんどん書き出します。すると予想以上にたくさんの付箋紙がテーブルに並ぶので受講者たちは驚きます。
例えば下図のような報酬が出てきます。この書き出しがどれくらい豊かにできるかはグループ・個人で差が出ます。仕事の報酬と聞いて、イマジネーションをどこまで掘り下げ広げられるかは、能力の差というより、仕事に対する意識の深さの差かもしれません。「仕事は給料を得るためだけのもので、できるだけラクにすませたい」と構えている人は、やはり豊かに答えは出てきません。
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