モデル化して考えるとはどういうことか──物事の仕組みを単純化してつかめ:物事を類型化(3/4 ページ)
モデル(model)とは模型を意味します。その字のごとく、「実物を模して(=真似て)形にしたもの」です。物事の構造や仕組み、関係性などを模型として単純化して表し、とらえやすくすること。それが「モデル化」です。
さて、それで肝心なのが作業2です。出てきた仕事の報酬の小片をどう類型化し、全体として1枚の図に表現するか。これはもっと大きな差が出ます。
受講者から出てくる典型的な答案を1つ紹介しましょう(下図)。ヨコ軸に「物質的な報酬/精神的な報酬」、タテ軸に「自分でためるもの/他者から受け取るもの」を取り、2軸平面図としてまとめたものです。4象限の各所に類型化された報酬群が配置されています。軸を切る目線も根源的なところに下りていっていますし、類型化も適当です。これくらいできれば、及第点といったところでしょうか。
メタファーを用いる図は記憶に残りやすい
研修を長くやっているといろいろな名作に出合います。1つの概念をめぐってさまざまなモデルが出てくるのが、コンセプチュアル思考のおもしろいところでもあります。受講者ワークのなかからユニークな答案をさらに3つ紹介しましょう。
答案例[2]と[3]は「比喩図」の優秀例です(下図)。それぞれ「ヒト」と「樹木」をメタファーとして報酬群をいろいろに当てはめています。こうした卑近なものになぞらえる図は注目されやすく、記憶に残りやすいという利点があります。
答案例[4]も独自の目線が入っている点で印象に残るものです(下図)。この図では「利己/利他」という基軸上に報酬群が並べられました。利己/利他という根源的要素を掘り出してきた着眼力と、ライフワークと対になる「ライスワーク(コメの仕事=食うための仕事)」の言葉選び、そして中央に置いた「すべての報酬は自己成長に通じる」というコアメッセージは、全体として思考の強さがあります。
関連記事
- 「KDDIの会見、やらなくてよかったんじゃね」問題 どう考えるべきか
KDDIの大規模な通信障害を受けて、興味深い問題が持ち上がっている。原因がよく分かっていない状況の中で、「会見を開く必要はあったのか」という指摘がある一方で、「早ければ早いに越したことはない」という意見もある。果たして、どちらが“正しい”対応なのだろうか。 - 人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人
人手不足が原因で倒産する企業が増えているようだ。東京商工リサーチのデータをみると、前年度から28.6%も増えて、過去最高を更新している。数字をみると、「人手不足=悪」のように感じるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫」が消えた、本当の理由
ジャポニカ学習帳の表紙といえば、「昆虫」の写真を思い浮かべる人も多いだろうが、数年前に昆虫が消えた。教師や保護者から「昆虫が気持ち悪いから変えてほしい」といった要望があって、発売元のショウワノートが削除したというが、本当にそうなのか?
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.