謎のロボット、ディズニーが特許取得 お土産を持ち歩く必要がなくなる?:廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(2/2 ページ)
ウォルト・ディズニー・カンパニーがユニークな特許を取得した。その名は「ロボット・シェルパ」。どんなロボットかというと……?
ソフトバンクロボティクスの「Servi」(サーヴィ)は、配膳・運搬ロボットとしてさまざまな飲食店で活用されている。例えば、物語コーポレーションは「焼肉きんぐ」242店舗、「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」68店舗の計310店舗で、サービィ443台を順次導入し、稼働を始めている。
サーヴィの場合、客が配膳・運搬のために呼び出すわけではなく、スタッフがあらかじめ設定したルートをたどって目的のテーブルまで料理を運搬するシステムだ。しかしロボットの働きでモノが移動して顧客の問題が解決される点は、ロボット・シェルパとの類似性を見い出せるのではないだろうか。
ZMPが提供するDeliRo(デリロ)は、自動運転技術を応用した宅配ロボットだ。荷物を入れるボックスを搭載し、日用品の宅配やクリーニングの集配、移動店舗など物流現場のロボットインフラとして期待されている。複数のカメラやレーザーセンサーを利用して周囲の通行人を検出し、自動で回避したり障害物の手前で安全に停止したりする機能を有する。また、声で存在を知らせたり道を譲ってもらうようにお願いしたりして、自律移動を可能にしている。
2022年2月1〜28日の期間、東京都中央区佃・月島・勝どきエリアで、DeliRoを活用したデリバリー事業の実証実験が行われた。国内初の試みとなる「遠隔監視による複数事業者参加型」で、モスバーガーや松屋など27の飲食店が参加した。このようにロボットによる物流インフラは決して遠い未来の話ではないのである。
ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのディエゴ・パラスは、Orlando Business Journalの取材に対し、現時点では潜在的な用途を探っているだけで、具体的な導入計画はない、と答えてはいる。しかし実装されれば、小さな子供連れのゲストや、体の不自由なゲストにとって画期的なソリューションになるだろう。
著者紹介:廣瀬涼
1989年生まれ、静岡県出身。2019年、大学院博士課程在学中にニッセイ基礎研究所に研究員として入社。専門は現代消費文化論。「オタクの消費」を主なテーマとし、10年以上、彼らの消費欲求の源泉を研究。若者(Z世代)の消費文化についても講演や各種メディアで発表を行っている。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、TBS「マツコの知らない世界」、TBS「新・情報7daysニュースキャスター」などで製作協力。本人は生粋のディズニーオタク。瀬の「頁」は正しくは「刀に貝」。
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