欧米で「Katsuブーム」が起きているのに、日本のカツ専門チェーンが進出しないワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
欧米で「カツブーム」が起きていることをご存じだろうか。6月、串カツ田中ホールディングスが米国に進出する話をリリースしたが、なぜ他の店は展開しないのか。背景に何があるのかというと……。
欧米で「Katsuブーム」が起きている背景
その謎を解くためには、まずは欧米での「Katsuブーム」がどのように起きているのかを理解しなくてはいけない。
日本のカツ専門チェーンが進出していないということは、ニューヨークやロンドンで舌の肥えた人々に称賛されている「Katsu」は、われわれ日本人が馴染みの深いカツ専門店チェーンの味ではない。では、いったいどんな店が提供しているのか。
そう聞いてまず皆さんが頭に思い浮かべるのは、「個人経営店」や「中規模チェーン」ではないか。例えば、ロンドンっ子に人気のとんかつ専門店「TANAKATSU」は、田中さんという日本人女性がボスニア・ヘルツェゴビナ出身の料理人の夫と営まれている。
また、ニューヨークで「Kurobuta pork cutlet」が人気の「PRIME MEAT ROKKO」という店を出しているのは、神戸市を中心に食べ放題で人気の焼肉店「神戸発祥 焼肉六甲」を展開するオーシャンフーヅという会社だ。
ただ、海外ではこのような店はマイノリティーだ。圧倒的に多いのが、「日本人以外が経営している日本食レストラン」である。例えば、18年、日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所が、米国内の日本食レストランの実態を調べたところ驚くような事実が判明した。
『日系卸売企業の話によると、現在、全米の日本食レストランの経営者のうち、日本人経営者の割合が1割強、日本人以外の経営者が8割強と言われる。これは2000年に日本人経営者が7割、日本人以外の 経営者が3割であったと言われていた頃から大きな変化である』(米国における日本食レストラン動向調査 2018年12月)
ちなみに、この調査によれば「日本人以外の経営者」というのは、台湾系、タイ系、インドネシア系、中国系、韓国系、フィリピン系、インド系、カンボジア系、ベトナム系などの「アジア系米国人」だそうだ。
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