カーボンクレジットをオンライン購入できるマーケットプレイス開始 e-dashが国内初
CO2排出量の可視化サービス「e-dash」を提供するe-dashは7月13日、カーボンクレジットをオンラインで購入できるマーケットプレイスの提供を始めた。企業は、カーボンクレジットを少量から手軽に購入可能となる。
CO2排出量の可視化サービス「e-dash」を提供するe-dashは7月13日、カーボンクレジットをオンラインで購入できるマーケットプレイスの提供を始めた。企業は、カーボンクレジットを少量から手軽に購入可能となる。
カーボンニュートラルの実現に向けて、企業は脱炭素への取り組みを迫られている。CO2排出量の可視化を行い、太陽光発電など再エネへの切り替えを行う動きが進み始めている。一方でクリーン化だけでは排出量ゼロは難しい。
そこで注目されるのが、CO2排出量削減効果を売買できる形にしたカーボンクレジットだ。CO2排出量がマイナスになる事業者がカーボンクレジットを販売し、企業がこれを購入することでカーボンオフセットを行い、カーボンニュートラルを実現する。
「2050年のカーボンニュートラルは、ほとんどの企業においては自社のクリーン化だけでは実現不可能。1つの手段として、外で削減されたものを購入することが手段として認められるべき」(e-dashの山崎冬馬社長)
カーボンクレジットを売買する仕組みは以前からあったが、ほとんどが大企業による相対の取引で、簡単に購入できるものではなかった。
e-dashが始めたカーボンクレジットのマーケットプレイス「e-dash Carbon Offset」では、企業は10キログラムからという少量からカーボンクレジットを購入できる。月額費用や初期費用などは必要なく、主要な認証団体が認証したグローバルなクレジットを取りそろえた。購入した企業にはe-dashが証明書を発行する。
プラットフォームには米サンフランシスコに本社を置くパッチ社の仕組みを使った。パッチはカーボンクレジットへのアクセスを提供するAPIを用意している。
e-dashの取り組みは国内初だが、企業側のニーズはこれからだ。企業の歩みとしては、まず自社のCO2排出量を可視化することから始まり、次に太陽光パネルなどを設置した創エネ、続いて調達エネルギーを再エネに切り替えるといったステップを踏むことが普通だ。その上で、削減しきれないCO2をカーボンクレジットを購入してニュートラルにする。
現在は可視化を進めるニーズが盛り上がりつつある段階にある。e-dash Carbon Offsetでは、e-dashの親会社である三井物産と博報堂が共同でスタートしたプロジェクト「Earth hacks」が最初の顧客となった。今後、2023年3月末までに100件の取引実現を目指すという。
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