ビットコインのマイニング、実は再エネが6割? 仮想通貨はSDGs的にアウトなのか:あの会社の「SDGs」(1/4 ページ)
仮想通貨、特にその代表であるビットコインが膨大な電力を消費することはよく知られている。その電力消費量は約130TWh、アルゼンチン1国分ともいわれる。日本の電力消費量の14%にも達する量だ。仮想通貨、そしてその基幹技術であるブロックチェーンは、SDGs的に“アウト”なのだろうか。
連載:あの会社の「SDGs」
ここ数年、さまざまな場所で目にするようになった「SDGs」。取り組みを進める企業がある一方、コスト面や売り上げへの影響など、大きな課題に直面している企業もある。実際に導入している企業はその課題をどのように解決しているのだろうか。身近な事例から、SDGsに取り組みメリット・デメリットを考えてみたい。
仮想通貨、特にその代表であるビットコインが膨大な電力を消費することはよく知られている。その電力消費量は年間約130TWh、アルゼンチン1国分ともいわれる。日本の電力消費量の14%にも達する量だ。
それでは、仮想通貨、そしてその基幹技術であるブロックチェーンは、SDGs的に“アウト”なのだろうか。
ビットコインのマイニング、実は再エネが6割?
仮想通貨のコミュニティ内での議論では、「仮想通貨の電力消費問題は、PoSへの移行や、再生エネルギーを使ったマイニングへの移行で解消されていくと、一蹴されている」と話すのは、仮想通貨取引所を運営するBITPOINTの小田玄紀会長だ。
小田氏はビットコインにおいても「6割がすでに再エネに移行している」と話す。その元となるのが、ビットコインマイニングカウンシル(BMC)が取りまとめたデータだ。 BMCとは、2021年5月にビットコインのマイニング事業者らが設立したもの。ビットコイン保有企業として知られるマイクロストラテジーやテスラのイーロン・マスクも関わっている。
そのBMCのデータによると、ビットコインのマイニングにおいてBMCメンバーの67.4%が再エネを利用しており、マイナー全体では56%にあたると推計されている。
しかし、なぜマイニング事業者はわざわざ再エネを利用するのだろうか。一般的には、最も安い電力は石炭火力発電といわれており、国内ではkWh単価で8円くらいだ。単純にビジネス的に考えると、最も安い電力を使うと考えるのが普通だろう。そして、石炭火力は最も環境に悪いと批判されている。
ここには再エネならではの特徴がある。実はマイニングに使われる再エネは、昼の時間、余剰電力として余ってしまっているものを使っているというのだ。
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