ビットコインのマイニング、実は再エネが6割? 仮想通貨はSDGs的にアウトなのか:あの会社の「SDGs」(2/4 ページ)
仮想通貨、特にその代表であるビットコインが膨大な電力を消費することはよく知られている。その電力消費量は約130TWh、アルゼンチン1国分ともいわれる。日本の電力消費量の14%にも達する量だ。仮想通貨、そしてその基幹技術であるブロックチェーンは、SDGs的に“アウト”なのだろうか。
実は余っている再生エネルギー
再エネの代表格である太陽光発電は、日中に発電し、夜間は発電しない。一昔前は、夜間電力は安く、日中の電力が高いというイメージがあったが、今は逆だ。太陽光発電の普及で、昼に供給量が膨らむ傾向にある。さらに、天候次第で発電量が変わる太陽光発電は、発電量が安定しない。つまり、「余りがち」になる。
実際、国内の太陽光発電でも、晴れた日には多くの電力が捨てられていることは意外と知られていない。需要を上回る発電がされる晴れた夏などは、太陽光発電所からの供給を遮断する出力制御が18年から行われている。九州電力では21年の4-6月の3カ月で35回も出力制御が実施された。地域によっては、再エネはすでに余っているのが現状だ。
そもそも、国内では制度上の制約もある。FITと呼ばれる固定買取制度の下では、一定の電力以上は買い取ってもらえない。しかし太陽光パネル自体はその2倍程度の発電能力を持つ過積載と呼ばれる構成になっていることが多い。よく晴れている日は、発電した電力の半分は捨てられているのだ。
海外の水力発電などでも同様の傾向がある。「過去、中国でマイニングされていたのも、大きな水力発電の隣でやっていた。kWh単価2-3円で行えていた」(小田氏)という。遠距離に送電するよりは、すぐ隣にあるマイニング工場に安く電力を供給したほうが採算が取れるという判断があるのだという。
マイニングではkWh単価3円くらいでないと、安定的に収益が確保できない。そして、最も安価に電力を得られるのが、再エネの余剰電力だというのだ。「普通の電源でマイニングしようとしたら、ビジネス的な観点で収支が合わない。SDGsという文脈ではなく、そもそもマイニングは余っている再エネを使わないとペイしないのが現状だ」(小田氏)
PoSへの移行も進む
もう一つ、仮想通貨のブロックチェーンにおいて、消費電力削減の切り札となるのがPoSへの移行だ。ビットコインでは、世界中のマイニング事業者が、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)と呼ばれる複雑な計算を解く仕組みで取引を完了させている。ビットコインの消費電力が問題になるのは、この計算の演算に大量の電力が消費されるからだ。
しかし、取引を完了させるには必ずしも複雑な演算を解く必要はない。代替案の一つがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)だ。「掛金の証明」という言葉のとおり、その仮想通貨の保有量が多いほど、取引を完了させる権利を持つ。PoSの利点の1つは、ほとんど演算が必要なく、電力を消費しないことだ。
最大の仮想通貨であるビットコインには、従来のPoWから変更する計画はない。しかし、時価総額第2位のイーサリアムは、PoWからPoSに次期バージョンで移行する計画が進んでいる。
またすでに、時価総額7位のテラ、8位のカルダノ、9位のソラナ、10位のアバランチ、12位のポルカドットはPoSで稼働している。比較的新しい仮想通貨は、いずれもPoSの採用を進めている。
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