ビットコインのマイニング、実は再エネが6割? 仮想通貨はSDGs的にアウトなのか:あの会社の「SDGs」(3/4 ページ)
仮想通貨、特にその代表であるビットコインが膨大な電力を消費することはよく知られている。その電力消費量は約130TWh、アルゼンチン1国分ともいわれる。日本の電力消費量の14%にも達する量だ。仮想通貨、そしてその基幹技術であるブロックチェーンは、SDGs的に“アウト”なのだろうか。
SDGsとは二酸化炭素排出量だけではない
もう一つの観点も重要だ。昨今、SDGsというと二酸化炭素排出に伴う温暖化にフォーカスされることが多い。しかし、SDGsは「持続可能な開発目標」というとおり、温暖化ガス以外にも大きく17個の目標が定められている。その中で、国連資本開発基金(UNCDF)が「8つのゴールにまたがる重要目標」としているのが金融包摂だ。
すべての人たちに金融を提供することを意味する金融包摂。これは、環境・社会・ガバナンスを意味するESGの文脈でも重要な内容だ。
実は、もともとのビットコインは金融包摂を実現しようという意図があった。マネックス仮想通貨研究所の大槻奈々所長は、「そもそも暗号資産の出自はESG。(ビットコインの発明者である)サトシナカモトの論文には、ESGの世の中を実現するとうたわれている」と話す。
サトシナカモト曰く、国際決済は大手金融機関に搾取されており、そのコストは年間数兆円に上る。決済サービスのコストはエンドユーザーに課されており、またコストを考えると小規模取引は割に合わないため、小口決済を受け入れていない。「世界中で、17億人が銀行口座を持てていないのは、そういう背景がある」と大槻氏。
ビットコインには、こうした状況を解決しようという意図があったが、価格の急激な上昇による投機性から、もともとのESGという目的が理解されずらくなっているというのだ。
ブロックチェーン技術と、その上でプログラムを動かすスマートコントラクトによって、SDGsに貢献しようという取り組みも盛んだ。例えば、ブロックチェーンを使って炭素排出量トークンを標準化しようという取り組みもある。「炭素排出量の質が担保されて二重利用が不可能な、カーボンクレジットのトークンを発行することで、P2Pで取引できるようになる」とマイクロソフトの金融イノベーション本部長の藤井達人執行役員は言う。
また産業サプライチェーンの中で、トレーサビリティを実現するサーキュラー社のソリューションも、ブロックチェーンを基盤としたものだ。
こうしたブロックチェーンを活用したSDGs的な取り組みは、電力をほとんど消費しないコンソーシアム型ブロックチェーンが使われることが多い。
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