任天堂、同性パートナーも婚姻と同じ扱いに 「アウティング」も禁止:企業や自治体で対応広がる
ゲーム大手の任天堂は、公式WebサイトでCSR情報を更新し、同性パートナーがいる社員も婚姻と等しく扱う「パートナーシップ制度」を導入したと公表した。すべての社員が気持ちよく働ける職場環境を目指すという。
ゲーム大手の任天堂(京都市南区)は、公式WebサイトでCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)情報を更新し、同性パートナーがいる社員も婚姻と等しく扱う「パートナーシップ制度」を導入したと公表した。すべての社員が気持ちよく働ける職場環境を目指すという。
同社によると、導入したのは2021年3月。婚姻関係に相当する同性パートナーがいる社員について、社内制度において婚姻と等しく扱う。同時に、事実婚関係にある異性カップルについても、法律上の婚姻と同等に扱うようにした。
今回の制度導入に伴い、社内のハラスメントに関する規程を改訂。性的指向・性自認に関する差別的な発言や、他人の性的指向を本人の了承なく第三者に公表する「アウティング」行為を明確に禁止した。
LGBT対応 自治体や企業で広がる
LGBT(性的少数者)への対応は近年、自治体や企業で広がりを見せている。15年4月、東京都渋谷区が全国で初めて同性パートナーシップを認める条例を施行。Webサイト「みんなのパートナーシップ制度」の調査によると、全国223の自治体が同様の制度を導入しており、人口のカバー率は52.8%に上る。
企業では通信大手のKDDIが13年、トランスジェンダーの社員が本人の希望する性で働けるよう、ワーキングネームの使用などを実施。17年4月からは同性パートナーも配偶者として認め、配偶者に適用される全ての社内制度 (祝い金、休暇、各種手当) を同性パートナーに対しても適用できるようにした。
家電大手のパナソニックも16年に社内ルールを変更し、同性カップルを結婚に相当する関係と認め、同性パートナーを持つ社員を福利厚生の対象としている。
21年3月には、札幌地裁が、同性婚を認めないのは「違憲」とする日本初の判断を示し、大きな注目を集めた。一方、今年6月の大阪地裁判決では、同性婚を認めないことを「合憲」とし、司法判断が分かれている。
19年にはアジアで初めて台湾が同性婚を容認。主要7カ国(G7)のうち同性婚を認めていない国は日本だけとなっている。
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