只見線はどうなるのか 映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』主演・監督に聞く(前編):杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶJR東日本の只見線を、奥会津の風景とともに年間約300日、30年間以上も撮影し続けたのが星賢孝氏だ。氏の主演する映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』の全国展開が始まる。映画の魅力と只見線のこれからを、星氏、監督の安孫子亘氏に聞いた(前編)。
――でもね、30年前に撮り始めたときは、失礼ながら、最初はよく写真を撮ってる近所のおじさんじゃないですか。それがだんだん、周囲の人々の共感を得ていく。どんなきっかけがあったのかなと。
星: 只見線の水害がなかったら、私もただのおじさんで終わっていました。誰も理解してくれない。趣味で写真をアップしてるだけ。ところが、不幸だったけれどもあの水害がきっかけで、行政も住民も「さて只見線はどうすんだ」って事態に直面して、考えるきっかけ、時間を与えてくれました。
――会津を復興するためのPR素材をつくろうとして、誰かいい写真を持ってる人がいないかと探したら、ものすごいたくさん写真を撮ってる人がいた(笑)。これを使わせてもらいましょうっていうところから話が始まってるんですね。
星: だからオレは基本的に無償で写真を貸している。ちゃんと撮ろうと思ったらいいカメラも必要で機材にお金かかるでしょ。でもオレは写真を表に出してもらって、奥会津にきてもらうのが目的だから、金なんかいいからどんどん使ってくれって。賛否両論あるんだけどね。向こうが謝礼を差し上げますってよこす分にはもらうけど(笑)。そんな形でやってるから使いやすい。
それがあったから、皆さんが真剣に考えて、行政も考えて、行政は行政でPRなんかして、人が来るようになった結果、皆さんが只見線の素晴らしさ、奥会津の自然の素晴らしさを認識するようになった。
人がどんどん来るようになるから、その姿を見て初めて、地域の皆さんも「只見線は素晴らしいんだ」と気付いた。そしてようやく星賢孝って人がいるんだということに気付いてもらった。それがなかったらただの写真おじさんで終わってたよね(笑)。
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