歪むスマホ販売 総務省、ついに携帯ショップの評価指標まで指導 :房野麻子の「モバイルチェック」(2/3 ページ)
携帯ショップは携帯電話会社(キャリア)にとって、ユーザーと直に接する重要なタッチポイントだ。それ故に、いつの時代もトラブルを含め注目すべき事案が尽きない。
違反続く販売代理店
総務省の「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」(以下、検討会)は、21年9月に公表した報告書内で、販売代理店に対するキャリアの委託手数料の評価指標に、法令違反を助長する可能性が高いものがあると指摘していた。問題視したのは「高額プランの獲得率を評価する指標」と「事業法第27条の3の違反を助長するような手数料・奨励金体系等の仕組み」だ。
「事業法第27条の3の違反」とは、通信料と端末代金の完全分離に背く行為のこと。具体的には、端末単体の販売を拒否することや、回線契約を伴う場合の割引の上限2万円(税抜)を超える割引、他キャリアのユーザーに端末購入サポートプログラムの提供を拒否すること、などだ。
販売代理店に対するキャリアの評価指標は、これら違反行為を助長しているとして、改善が求められるとともに、携帯電話販売代理店に関する情報提供窓口の設置や継続的なモニタリングが行われてきた。キャリアも代理店に対して販売方法を指導するとともに、代理店に対する手数料や評価指標について、一定の対応は行われてきた。
しかし、状況は改善されていない。
先日7月12日に、検討会から「『消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書 2021』を踏まえた取組に関する提言(案)」が公開された。
そこでは、現在でも広く不適切な行為が行われていること、また、こうした行為はショップスタッフ個人の判断で行われているケースは少なく、キャリアや販売代理店の営業目標、店長の指示といった外的な圧力に起因して行われるケースが大半を占めていると指摘している。
情報提供窓口には、「キャリアが設定している現在の手数料や評価体系では、契約獲得を優先せざるを得ない」「目標値が高すぎる」といった声があったという。
さまざまな対策が講じられたものの、こうした状況が続いており、改善するためには従来の対応だけでは十分とは言えないと指摘している。
また、最近増えてきている「出張販売」にも言及。出張販売は「不意打ち的な販売」になりやすく、「イベント会社等から派遣された応援スタッフが不適切な営業を行う事例がある」とし、消費者保護ルールに違反する営業が行われやすい面があるとしている。
そこで、キャリアに対しては、契約獲得だけでなく、ユーザーの満足度、例えば継続利用率やオプションの実際の利用率なども評価できるような指標に見直す仕組みにすること、目標値について販売代理店が十分納得するものとすべきだと提言している。目標値が過大で不適切な行為が助長される場合は、業務改善命令の対象となることをガイドラインで明確にするべきとも述べている。
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