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「コロナ禍」見誤った中国火鍋チェーン「海底撈」、海外事業切り離しで立て直し? 日本でも大量出店のち休業浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/6 ページ)

中国最大の火鍋チェーン「海底撈火鍋」を経営する海底撈国際控股が、海外事業部門を分社し、香港証券取引所に上場申請した。同社はコロナ禍で大量出店する「逆張り」戦略が失敗し、直近の決算で巨額赤字を計上。国内外の同時改善は難しいと判断し、重荷の海外部門を切り離したようだ。

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日本市場も立て直し真っ最中

 ただでさえカルチャーの違う海外事業は一筋縄ではいかない。国内の立て直しに追われる海底撈は、中華圏の中核事業に専念するために、重荷となっていた海外部門を切り離した可能性がある。

 海外事業全体の中でも、日本と韓国をカバーする東アジア事業が苦戦していることも指摘しておきたい。

 東アジア地域の客単価(21年1〜3月)は28.85ドルで、東南アジアの24.8ドルよりは高いもの、北米の54.3ドル、オーストラリア、英国の45.6ドルには遠く及ばない。東アジアの回転率(同)は1.9回で、こちらは全地域で最も低い。

 日本市場については、中国本土と同様にコロナ禍での「急激な拡張」と「短期間での閉店」が鮮明で、FacebookやInstagramの公式アカウントによると、以下の順に出店していた。

  • 15年:池袋(東京)
  • 17年:新宿(東京)
  • 18年:幕張(千葉)、心斎橋(大阪)
  • 19年:三宮(神戸)
  • 20年:町田(神奈川)、横浜中華街(同)、川崎(同)、横浜駅前(同)、福岡(福岡)
  • 2021年:秋葉原(東京)、上野(同)

 しかし現在営業しているのは池袋、新宿、幕張、横浜駅前、上野、心斎橋の6店舗のみで、秋葉原や横浜中華街の店舗は休業。町田、三宮は閉店した。

 海底撈日本の関係者は現状を「調整の時期」と説明する。稼働店舗を絞った上で数カ月前からメニューの見直しや従業員教育に注力しているといい、22年5月の分社のタイミングと重なる。

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