中国EV大手BYD、日本上陸 SUVなど3車種を市場投入へ 各車種の仕様は?:2023年1月発売も価格は未定(2/2 ページ)
中国EV大手「BYD」(広東省深セン)が、日本の自動車市場に本格参入すると発表した。2023年1月以降、BEV3車種を順次、日本で販売する。参入に合わせ、7月4日に国内での販売を手掛ける100%出資子会社「BYD Auto Japan」(横浜市)を設立。3車種の販売を起点に、日本でのビジネス拡大を目指す。
海洋美を追及した「DOLPHIN」 日本での普及モデルに?
アットスリーに続き、日本で販売するドルフィンは、海洋美を追及した内外のデザインが特徴のコンパクト車種。中国では21年8月に発売され「毎月1万台ペースで販売している、ベストセラーカー」(東福寺社長)といい、日本でも普及モデルになるとみられる。
シンプルな外観はもちろん、内部のステアリングホイールはイルカの尾びれを意識したデザインを採用。バッテリー容量は44.9kWh(スタンダード)、58.56kWh(ハイグレード)の2タイプを用意。航続距離はそれぞれ386キロメートル(同)、471キロメートル(同)。2タイプとも交通標識認識システムや誤発信抑制機能を標準搭載するなど、安全に配慮した設計となっている。
同社の担当者によると、「FIT」(ホンダ)、「NOTE」(日産)、「ヤリス」(トヨタ)などのコンパクトカーをライバルと位置付けているという。
最新技術を結集したハイエンドモデル「SEAL」
23年下半期に日本での販売を予定しているシールはセダンタイプのハイエンドモデル。中国でも5月に発表したばかりの最新車種だ。バッテリー容量は82.56kWh、航続距離は555キロメートル(同)を記録しているという。
「EVの選択肢を広くするため、より多くのお客さまに質の高いサービスを提供していく」(東福寺社長)
現時点で、3車種とも日本での販売価格は未定。だが、東福寺社長は価格について「お客さまに手の届きやすい価格帯とし、バリューフォーマネーを感じてもらえるようにしたい」とし「遅くとも11月には詳細な価格情報を公表できるのではないか」との見通しを示した。
販売促進には店舗網の拡充が欠かせない。このため、同社は25年末までに47都道府県に100店舗以上の直営店を展開し、日本でのBYD製EVの普及を図る方針だ。
ジャックスとの損保大手との提携も明らかに
これに加え、信販大手ジャックス(東京都渋谷区)と提携し、支払いプランの充実や、日系の損害保険大手と提携した独自保険の提供に向けた準備も進行中。新車には4年10万キロ、車載バッテリーに対しては8年15万キロを補償対象とする予定だという。
普及促進に向けて、一定期間無償で貸し出す試乗プログラム「e モビリティパートナープログラム」を8月後半から募集する他、7月末に横浜赤レンガ倉庫で開催するイベント「RED BRICK BEACH 2022」の協賛企業となり、試乗会も行う予定。
中国でのEV販売台数9年連続1位、日本ではEVバスのシェア7割
BYDは1995年に中国・深セン創業の企業だ。自動車事業には03年から参入し、現在は自動車だけでなく、「ITエレクトロニクス」「新エネルギー」「都市モビリティ」の4領域で事業を行っている。
自動車事業では世界70以上の国と地域、400以上の都市にEVを展開。中国国内ではEVの販売台数で9年連続1位を記録している他、上半期(22年1月〜6月)には前年比3倍超となる64万台のEVを販売し、販売台数で世界トップに立った。日本でもEVバスの国内シェア7割を記録している。
従業員はグローバルで約30万人、日本法人には44人(6月末)の社員が在籍している。このうち約半数に当たる22人がBYD Auto Japanに出向する形で、事業を展開する。ビジネス拡大に向けて、社員の採用活動も今後強化する方針だという。
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