「つながらない権利」を守るために、企業がすべき3つのこと:切ない事態を招かないために(3/4 ページ)
テレワークの普及にともなって、「つながらない権利」を耳にする機会が増えてきた。業務外の時間に、会社からメールや電話への対応を拒否する権利のことだが、日本ではまだまだ整備が進んでいない。こうした状況の中で、企業はどのように対応すればいいのだろうか。
まずは企業ができるルール整備を
従業員のメンタル不調にもつながりかねない「つながってしまう」環境への対応として、企業としてどう向き合うべきだろうか。まずは、企業単位で、ルールを整備していくことが重要だと考える。例えば、以下のような対策がある。
(1)管理職への教育や研修により、意識改革を促す
かつて、日本では長時間労働が当たり前だった時代があった。その時代を経験してきたであろう、現在「上司」の立場にいる人の意識を変える必要がある。また、上司から部下への勤務時間外の連絡がなければ、「つながらない権利」の侵害は起きにくい。
(2)取引先との契約内容に明記する
業務時間外に上司からの連絡がなかったとしても、取引先からの連絡があっては意味がない。その対策として、取引先とのルールに「〇時以降の連絡は翌日対応」などのように明文化しておくといいだろう。
(3)簡単なルールづくりで全体に周知する
従業員全体への周知も重要だ。といっても、難しく考える必要はない。「〇時から〇時までのチャット送信は禁止」「受信したメッセージには翌就業時間まで対応しない」といったシンプルなルールを取り入れるだけでも、社員全体の意識が変わるだろう。
特に経営者や上司の立場にいる人こそ、自分では「つながる」ことを強要しているつもりがなかったとしても、結果的に「つながる」環境をつくってしまってはいないか、今一度見直すことが大切だ。そのようなつながりやすい状況を企業として放置することは、「黙認」とみなされ、待機時間を労働時間と判断されるケースも起こり得ることも、注意点として付け加えておく。
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