「つながらない権利」を守るために、企業がすべき3つのこと:切ない事態を招かないために(4/4 ページ)
テレワークの普及にともなって、「つながらない権利」を耳にする機会が増えてきた。業務外の時間に、会社からメールや電話への対応を拒否する権利のことだが、日本ではまだまだ整備が進んでいない。こうした状況の中で、企業はどのように対応すればいいのだろうか。
プライベートを尊重する組織
特にテレワークにおいては、いつでもどこでも働くことができてしまうがゆえに、つながりやすい環境にあること、それが心身の負担につながることを指摘してきた。しかし、一概に「午前9時〜午後5時以外の連絡は禁止」とすることが絶対に正しい、と言い切ることはできないとも考えている。業種や従業員の属性など、企業体制によって事情は異なるからだ。
例えば、副業というスタイルでその企業に従事している人は、夜間しか連絡ができないこともあるだろう。また、海外在住の従業員がいる場合には、時差の関係でそもそもの稼働時間が異なることも考えられる。
ただし、このような企業環境にある場合でも「つながらない権利」を尊重するために、相手を思いやることはできる。例えば、チャットのプロフィールに「午前10時〜午後4時稼働」「7月20日〜25日休み」など、各々が自分のコアタイムや休暇を明記する方法がある。こうすれば、相手の休みを慮(おもんぱか)ることが可能だ。
大切なのは、個人の抱えるさまざまな事情や働き方、そしてプライベートを尊重することだ。そのことを、従業員一人ひとりが意識する社内風土を醸成することが組織のあり方として重要である。
それを実現するために、まずは経営者である自分自身がそれを体現すること、そして言葉で確実にメンバーに伝えていくことを意識しなければいけない。従業員一人ひとりがそれぞれのプライベートを大切にしながら、働きやすい環境をつくることが、結果として強い組織になると信じている。
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