販売絶好調のキャンピングカー いったいどんなクルマが売れている?: 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)
今、キャンピングカーが売れています。日本RV協会が7月に発表した「キャンピングカー白書2022」によると、2021年のキャンピングカーの売上総額は、前年比109.1%の約635.4億円でした。前年よりも1割近く伸びています。
どんなキャンピングカーが売れている?
では、日本では、どんなキャンピングカーが売れているのでしょうか?
年間売上635.4億円の7割以上を占めるのが新車販売です。キャンピングカー専用となる8ナンバー仕様の新車が412億円、8ナンバー以外の新車が56.4億円で、あわせて468.4億円。中古車は8ナンバーが149.5億円、8ナンバー以外が17.4億円の計166.9億円で3割弱となります。
新車販売のうち国産車が8165台、輸入車は627台。国産のキャンピングカーは前年の7434台に比べて1割近くも増加していますが、輸入車の新車は前年の690台から1割近くも減少しています。
輸入車の販売は、18年が763台、19年が636台、20年が690台、21年が627台というように残念ながら頭打ち状態。一方、国産車は18年5637台、19年6445台、20年7434台、21年8165台と順調に伸びています。国内のキャンピングカー市場の大きなけん引者は、国産のキャンピングカーといえる状況です。
ベスト3の「バンコン」「キャブコン」「軽キャンパー」
そんな国産キャンピングカーでベスト3の人気を誇るのが、全体の37.2%を占める「バンコン」、23.9%の「キャブコン」、そして13.5%の8ナンバーではない「軽キャンパー」です。
「バンコン」とは、「ハイエース」などの1BOXのバンをベースに製作されたキャンピングカーで、正式には「バンコンバージョン」と呼びます。「キャブコン」とは「キャブコンバージョン」の略で、キャブ(キャビン)=運転席がある小型トラックなどのシャシーに、客室を架装したものを指します。一般的に「バンコン」よりも、「キャブコン」の方が大きな室内空間を確保できます。そして「軽キャンパー」は、軽自動車をベースにしたキャンピングカーです。軽キャンパーのうち、8ナンバー登録は全体の3.6%、それ以外が13.5%で、8ナンバー以外が主流となります。
そして、その8ナンバー以外の軽キャンパーは、前年比149.7%と目立って増えています。また、同じように増えたのが「キャンピングトレーラー」です。総数としては、キャンピングカー全体の1.2%に過ぎませんが、伸び率は前年比170.2%。「キャンピングトレーラー」は、別のクルマに牽引してもらうため動力源が必要なく、価格が抑えられるのが特徴です。固定しての利用もでき、災害時のシェルターや隔離施設、プライベートルームなどの利用が可能となります。コロナ禍の影響が人気の理由かもしれません。
新車が売れれば、中古車の流通も増えるのが自明の理。18年の中古車販売売上は125.4億円、19年は154.5億円、20年は155.1億円、21年は166.9億円と右肩上がりに増えています。数でいうと、国産の中古車の販売数は3822台。一方、輸入車の中古車販売は、わずか463台にとどまります。
中古車の内訳としては、国産中古車で多いのが「バンコン」で、次いで「キャブコン」。この2車種で国産中古車の7割を占めます。数が少ないながら、前年よりも伸びているのが「バスコン」と8ナンバーではない「軽キャンパー」とか。「バスコン」は、名称の通り、マイクロバスなどのバスをベースにしたキャンピングカーです。中古輸入車では、全体の4割が牽引式の「キャンピングトレーラー」を占めますが、数自体は減少傾向。その代わり「クラスA(フルコン)」と呼ぶ大型モデルと、「クラスB(バンコン)」が増加傾向です。
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