ウナギのチェーン店が急増中! 価格が高騰しているのに、売り上げが好調な理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
コロナ禍に入ってから、ウナギのチェーン店が急増している。ウナギのファストフード「名代 宇奈とと」は、約2年で店舗数が7倍に増えた。一方、高級なウナギ料理を提供するチェーン店の存在感も増している。
躍進する宇奈とと
宇奈ととは、落語家の金原亭世之介氏が2000年に考案した業態で、ウナギのファストフードを目指した。高級食材のウナギを低価格で販売して「ワンコインうな丼」と呼ばれた。当初は世之介氏が創業した株式会社オフィス・スクランブルによって、運営された。
宇奈ととの経営は、2003年からG-FACTORYが引き継いだ
同社は飲食店のコンサルティングを主力とする企業。宇奈ととの他にも、グループ会社のM.I.Tが高級焼鳥店「中目黒いぐち」、京都「鳥さき」、土鍋ご飯「米ル」など、和食を中心にこだわりのある店を経営している。鳥さきは19年にオープンして1年足らずで、ミシュラン1つ星を獲得した。
G-FACTORYに経営が移っても、宇奈ととはしばらくうな丼を1杯500円から提供していた。
しかし、消費増税に対応して19年10月に1杯550円に値上げ。原料価格、人件費の高騰もあり、22年7月1日以降は1杯590円に上がっている。同社・広報によれば「値上げは苦渋の決断だった」という。それでも激安であることは確かだ。
ちなみに、牛丼3社のウナギの値段はどうなっているのか。「吉野家」のうな重は一枚盛で1097円。「すき家」のうな丼が並盛で850円。「松屋」のうな丼がみそ汁、キャベツお新香付きで880円だ。
サイズが違うので単純比較はできないが、丼1杯を最も安価で食べられて、しかもウナギを炭火焼で炙って提供する(一部店舗を除く)という点で、宇奈ととにはウナギ専門店としての矜持(きょうじ)がある。
宇奈ととの一番人気のメニューは、ウナギの量がうな丼の2倍となる、うな丼ダブルで1100円。次いで、うな丼、うな重(960円)。
最初はうな丼として食べ、途中からダシを入れてお茶漬けにする「ひつまぶし」(1100円)も用意している。現在のように「名古屋めし」の1つとして普及する前、初期の頃から同メニューを導入していて、ひつまぶしという料理を広める役割を果たした店の1つである。
サイドメニューも、ウナギの肝が入った肝吸い(160円)、赤だし(110円)、お新香(110円)、サラダ(220円)、とろろ(220円)と、安価な値段でそろっている。
ウナギを使った、蒲焼、うまき、うざく、肝串などのおつまみもあり、ちょい飲みのニーズにも対応している。
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