「さようなら、監獄レストラン」 なぜ23年も運営できたのか:水曜日に「へえ」な話(1/4 ページ)
「監獄レストラン ザ・ロックアップ」が7月31日に閉店した。「不気味さ」や「怖さ」を売りにしたエンタメ系のレストランは、なぜ閉店したのだろうか。運営元を取材したところ……。
「こ、怖っ!」――。
エレベーターから降りた瞬間、そのように感じるレストランがある。扉を開けると、ポリスの制服を身にまとったスタッフが出てきて、自分が犯した罪を述べると、手錠をかけられ監獄(飲食する個室)に連行されるのだ。
店名は「監獄レストラン ザ・ロックアップ」(以下、ロックアップ)。1999年、京都に1号店をオープンしたところ、若者を中心にウケ、全国に20店まで広げた。が、しかしである。最後の砦(とりで)ともいえる新宿店が7月31日に閉店し、「怖さ」や「不気味さ」をウリにした店は23年の歴史に幕を下ろしたのだ。
「ふーん、そんな店があったんだ。行ったことがないから、よく分からないなあ」といった人もいると思うので、簡単に店のことを紹介しよう。店内を見渡すと、監獄をイメージした装飾になっていて、奇々怪々な雰囲気が漂っている。先ほど紹介したように、お店に入ると、客は囚人を演じなければいけない。鉄格子の監獄に投獄されると、料理を注文できるといった仕組みである。
フツーの居酒屋であれば、焼き鳥やポテトサラダなどがフツーの皿に盛りつけられていて、生ビールを注文してもフツーのジョッキででてくる。しかし、ロックアップは違う。
オリジナルカクテルの「人体実験カクテルセット」(980円)は試験管に入っていて、それをビーカーで提供している。色は緑、赤、紫、黄など。「悪魔の輸血」(980円)はその名の通り、輸血に使うパックの中に飲み物が入っていて、管を通じてビーカーに注ぐといった形である。「輸血」ということもあって、飲料の色はもちろん「赤」だ。SNSを見ると、たくさんの写真がアップされているので、商品を目の前にすると、思わずパシャパシャする人が多いのだろう。
料理メニューで人気の「悪魔の左手〜グリルチキン」(980円)は、スルドイ爪のような形をした肉が並んでいるので、これもまた写真を撮りたくなる。このように店内の装飾だけでなく、スタッフの制服やセリフ、料理、飲み物など、細部にわたって「怖さ」や「不気味さ」を演出しているのだ。
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