国内初! 公道をフルリモートで走る配送ロボ、安全面はどう対応? パナソニック担当者を直撃:ロボットが共生する未来【前編】(3/3 ページ)
パナソニックは4月、日本初となる保安要員なしのフルリモートでの自動配送ロボット運行の道路使用許可を取得した。気になるのは安全性だ。パナソニックの担当者に話を聞いた。
1人4台監視では実用化は難しい「10台が目安か」
オペレーター側は1人で4台を監視しているので、どうしても危険を見逃してしまうことがある。そこにはAI検知が生かされている。走行中に危険を予測検知することで、遠方の人や近接車両等の移動物体、路上落下物などを即座に発見し、遠隔監視・操縦を行うオペレーターに通知し、補助している。
実際に遠隔操作センターを見学したが、オペレーターは基本的に危険を察知して停車したロボットに対し、周辺の安全性を確認して再発進させる操作が多かった。
ただ、1人で4台を監視している今の状態では実用化は難しいと東島氏。「1人で10台ぐらい見ないと、コスト的に労働力不足や労働環境の改善とまではいかないかなと思います。そのあたりをどうするかは今後の課題ですね。人間1人で10台を見るのは現実的ではないので、AIをさらに賢くする必要があると思います」
操作画面は、高齢者や主婦、体に障害がある人でも簡単に操作できるようなUI/UXを心がけた。特別な技能がなくても1〜3週間程度研修をすれば1人前のオペレーターになれるという。
コントローラーは、ゲーム機用と似たものを使用。ロボットの再始動にはタッチパネルを採用するなど、実証実験を積み重ねることで操作性を向上させた。
現在の道路使用許可は、Fujisawa SSTの走行に限定されている。今後は、240時間フルリモートで運行し、何事もなければ他拠点での実証を目指す。その際、藤沢と類似している環境では、他拠点でも簡易的な申請でサービス実証ができるようになるという。
他拠点展開をしていくなかで、気になるのはビジネスモデルだ。まだまだコストが高いといわれる自動配送ロボット。パナソニックが描く世界とはどんなものだろうか。あわせて1月に発足したロボットデリバリー協会の活動の話も聞いた。(後編へ続く)
著者プロフィール
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
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