ビジネスホテルの“無料朝食”、気になる原価は一体いくら? 激化する“朝食合戦”から見るホテルの今:瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/4 ページ)
ホテルが朝食で特色を出そうとしていることは、宿泊者としてひしひしと感じる時がある。新たな施設の建設やリノベーションを施せば特色は強く打ち出せるが、コストはバカにならない。朝食は差別化のアイテムとして取り組みやすい部分なのだろう。
ホテルが朝食で特色を出そうとしていることは、宿泊者としてひしひしと感じる時がある。インバウンド活況時からコロナ禍という流れの中で露呈した宿泊施設の供給過多にあって、他の施設にない特色を出して差別化を図るのは当然。新たな施設の建設やリノベーションを施せば特色は強く打ち出せるが、コストはバカにならない。つまるところ朝食は差別化のアイテムとして取り組みやすい部分なのだろう。
「ピーク」と「エンド」の経験が物事の印象を大きく左右する「ピークエンドの法則」がある。宿泊者からしても、ホテルステイで最後に体験したことの印象が良いとそのホテル全体がよく見えるものだ。そうした部分でもホテルが朝食に力を入れることはある種理にかなっていることのように思える。
宿泊施設やホテルといっても多種多様。ホテルは「シティーホテル」「ビジネスホテル」「リゾートホテル」など、さまざまなカテゴリーがあり、われわれも旅のスタイルからホテルを選ぶときの基準にしている。では、宿泊施設ごとに朝食の特色はあるのだろうか。“高級”と言われるシティーホテルやリゾートホテルは豪華な朝食で、宿泊特化のホテルが簡素かというと一概にそうとは言えない。
確かに元来はそうした傾向はあったのだろうが、ビジネスホテルでもハイクラスな施設が際立ち、“朝食合戦”が激化した結果、シティーホテルの領域に“浸食”するような豪華な朝食に接することも増えた。内容ばかりではない。これまで「シティーホテル朝食」の十八番であった卵料理を目の前で調理してくれるような“実演”をビジネスホテルでも見かけるようになった。
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