寮発祥のドーミーインが「大浴場」をどんどん展開するワケ 手掛ける「和風ビジネスホテル」とは?:瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/5 ページ)
「宿泊施設のカテゴリーボーダーレス化」が進んでいるが、ドーミーインのサブブランド「御宿 野乃」もそのひとつだろう。
いきなり全館畳敷きに温泉と旅館風情の話で恐縮であるが、2021年はじめにJR京都駅中央口から徒歩約7分の好立地へ開業した「天然温泉 蓮花の湯 御宿 野乃 京都七条」は、京都市街にあって旅館風情満点と人気を博している。
単純アルカリ泉で冷え性、神経痛などに効能があるとされる天然温泉の大浴場は本格的で、内風呂や壺湯、岩風呂、檜風呂といった浴槽をはじめ、ドライサウナや水風呂、打たせ湯など充実の設備が自慢の宿だ。何より靴を脱いで館内を行き来できるのはリラックス度が相当高い。
実はこちら、ビジネスホテルブランドとして圧倒的な人気を誇る「ドーミーイン」のサブブランド「御宿 野乃(おやどのの)」の施設である。御宿 野乃は京都も含め7店舗(東京・奈良・大阪・鳥取・石川・富山)展開しており、ドーミーインを運営する「共立メンテナンス」(東京都千代田区)は“和風ビジネスホテル”を標ぼうし、ファンから大きな支持を集めている。
ビジネスホテルと旅館のハイブリッドというわけだが、機能性や利便性、和のくつろぎを併せ持つ“いいとこ取り”施設とも表せるだろうか。
筆者は数年前から、シティーホテルのような高級ビジネスホテルなど、「シティーホテルのビジネスホテル化」「宿泊施設のカテゴリーボーダーレス化」を指摘してきたが、“ホテルライクな旅館”もその一つだ。伝統的な旅館がホテルブランドによってリブランドされ、和室にベッドが配されるといった例は散見される。他方、御宿 野乃は“旅館ライクなホテル”とでも言おうか。共立メンテナンスによると「あくまでもホテル」だという。
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