サーベイ商品とは、一般的な観点や基準から見て(他の会社と比較して)、自社の現状を診てみましょうというサービスであり、そこには総括に欠かせないストーリーがありません。総括とは、単なる結果ではなく、過去において誰が何を、どう考えてどのようなプロセスを経て実行したかを明らかにし、その成否を現時点で評価しようとするもので、サーベイ商品から分かる現状分析はせいぜいその参考資料です。
また、過去に対する何の総括もなく、サーベイ商品が示す現状の問題点だけを見てその解決策を講じようとするなら、人事としての一貫性のなさだけでなく、過去に効果の無かった施策をまた繰り返してしまうことにもなりかねません。サーベイが好きな人事部は少なくありませんが、それはむしろ総括を避け、総括からどんどん遠ざかっているようにも見えます。
だからだと思いますが、人事ほど新しいコンセプトやワードが出ては消えを繰り返す分野はないでしょう。「評価」で言えば、360度評価(多面評価)、MBOやOKR(目標管理の仕組み)、コンピテンシー、ノーレイティング(ランク付けしない評価の仕組み)など。研修の内容には何年かごとに流行り廃りがあって、仕組みでもカフェテリア制度や選抜型教育などが注目されては下火になり、最近は学び直しやリカレント教育、リスキリングといった言葉を盛んに目にします。
ほかにも、1on1ミーティングとか、心理的安全性だとか、エンゲージメント、リチーミングなどなど次から次に新しいものが登場してきています。人材系の会社のホームページを見ると「用語集」というページがよくありますが、それくらい人事関係の仕事をしている人でも混乱気味なのではないかと想像します。
新しい考え方や言葉に振り回されることなく、一貫性を持って自社らしい人事施策を打ち続けるには、総括から始めなければなりません。そして、しっかりした総括があれば、それが判断基準となって、新しい考え方やワードを適切に取捨選択し、効果的に生かしていけるようになるでしょう。
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