【いまさら聞けない】マイナンバーカード、政府はなぜ推進?(2/3 ページ)
政府がマイナンバーカードの普及を強力に推し進めている。一方で、なぜここまでして普及させたいのか。
公金口座登録には必ずしもマイナンバーカードは不要なはずだが?
例えば、マイナポイント第2弾で推進されている公金口座の登録を考えてみよう。これは、マンナンバーに特定の銀行口座をひも付けるものだ。つまり、各国民がマイナンバー(通知カードで連絡されている)と銀行口座を合わせて登録できる仕組みがあれば、原理的には実現でき、必ずしもマイナンバーカードは必要ない。
実際、マイナンバーカードがないとできない手続きというのは基本的になく、通知カードに免許証などの本人確認証を組み合わせることで、代替として利用できる。
ではなぜか。マイナンバー制度やマイナンバーに詳しい野村総合研究所の冨田勝己氏は、次のように理由を説明する。「マイナンバーカードだけでなく、通知カード+免許証などバリエーションがあったほうがいいという考え方もある。しかし、これを受け入れる行政側の体制整備をはじめとする追加コストが膨大となったり、現場の混乱やミスが起きやすくなるなどのデメリットが伴う」
マイナンバーカードの本質の1つは、デジタルに対応した本人確認証だ。本人確認証の代表例である運転免許証は、目視または紙にコピーして郵送することで本人確認を行うことがほとんどだ。非接触型ICチップが搭載され、読み取り機を使ってデジタル的に本人確認も可能だが、ほとんど普及していない。
マイナンバーカードには接触/非接触のICチップが搭載され、スマホのカード読み取り機能と組み合わせることで、官民双方の本人確認が必要なサービスにおいて、デジタル処理ができることを当初から想定している。
そしてもう1つが、(当然だが)マイナンバーとひも付いていることだ。そのため、公金口座とマイナンバーのひも付けも、マイナンバーカード1枚で、かつデジタルで処理できるわけだ。
関連記事
- マイナポイント第2弾、6月30日スタート 2万円付与で国民全員は動くのか?
マイナンバーカードの普及を目指したマイナポイント事業の第2弾が、6月30日からスタートする。2021年12月末で終了した第1弾に続き、最大2万円のポイントを付与し、2022年度末までにカードをほぼすべての国民に行き渡らせることを目指す。 - マイナポイント第2弾、初速好調? 5日で330万人申込み
6月30日にスタートしたマイナポイント第2弾。子供も含めて、1人あたり2万円分のポイントが付与されるとあって、関心は高い。総務省が発表した申込み件数によると、開始後5日間の申込数は338万2311件。同期間の第1弾が77万6160件だったのに比べると、好調な滑り出しにも見える。 - マイナポイント第2弾スタート 対応するキャッシュレス事業者、止める事業者
マイナンバーカード取得者に最大2万円分のポイントを付与する、マイなポイント第2弾が6月30日にスタートした。予算1兆8000億円を費やし、2022年度末までにほぼすべての国民にマイナンバーカードを行き渡らせることを目指す。 - スマホにマイナカード機能搭載、なぜiPhoneは未対応なのか?
マイナンバーカードの機能がスマホに搭載されるようになる。しかし、当初はAndroidのみで、iPhoneはしばらく先になりそうだ。 なぜAndroidだけでiPhoneはまだなのか。 - 20年実施検討中の「マイナポイント」 25%還元だが複雑さに懸念も
経産省が推進するキャッシュレス・消費者還元が始まった。消費喚起と共に、キャッシュレス推進や中小企業も支援しようという複数の狙いを持つ。さらに、20年には総務省が、マイナンバーカードの普及促進を、消費喚起とセットで狙い「マイナポイント」を計画中だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.