【いまさら聞けない】マイナンバーカード、政府はなぜ推進?(3/3 ページ)
政府がマイナンバーカードの普及を強力に推し進めている。一方で、なぜここまでして普及させたいのか。
情報のひも付けをさらに容易に
実際、マイナポイント第2弾のために公金口座登録をやってみると、手続きは拍子抜けするくらい簡単だ。専用アプリ「マイナポータル」を使い「口座情報の登録・変更」を選ぶ。
「マイナンバーカードを読み取る」ボタンを押し、マイナンバーカードのパスワードを入力。スマホの先端をマイナンバーカードにかざせば、読み取りが完了し、サイトにログインする。あとは、銀行口座を入力するだけだ。
マイナンバーカードを使ってログインすることで、「マイナンバー」と「公金口座」が紐づくとともに、その登録を行っているのが本当に本人かどうかを確認できるわけだ。
これは従来の紙を使った手続きに比べると、圧倒的にスピーディで簡単だ。少なくとも、役所の人たちの労力もかからないし、ミスも起こらない。公金口座登録は、マイナンバーで実現したいことの1つの目的であるとともに、「マイナンバーカードを使うと手続きがこんなに簡単になるよ」ということを体験する意味も兼ねているといえそうだ。
この簡便さは、逆にいうと各種情報をマイナンバーにひも付けるハードルが下がるともいえる。
例えば、金融機関には預金口座とマイナンバーをひも付けて管理する義務が課されている。しかし、この登録は順調に進んでいるとは言い難い。顧客に、通知カードと本人確認書類のコピーを紙で提出してもらうのは、そんなに容易なものではないことが理由の1つだ。もし全国民にマイナンバーカードが普及したら、この手続きも現在より容易になるだろう。
紙と人手による作業を避けて、マイナンバーと各種情報をひも付けるなら、事業者側、利用者側の双方にとって、最も容易なのはマイナンバーカードを使うやり方だということだ。マイナンバーを国民全員に割り振っただけでは、実効性が薄い。ほかのさまざまな情報と容易にひも付けるためには、マイナンバーカードを取得してもらい、利用に慣れてもらう必要がある。これが、政府がやっきになってマイナンバーカードを推進する理由ではないだろうか。
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