気温35度でも「溶けにくいアイスクリーム」発売 開発のきっかけとなった“切実な事情”とは:新規事業でチャレンジ(1/3 ページ)
業務用食品卸の会社が、溶けにくいアイスクリームを発売した。きっかけとなったのは、同社の社員が病院や高齢者施設で聞いたある悩み事だった。開発担当者に背景を聞いた。
「気温35度で1時間、形状を保つことができるアイスクリーム」――そんな商品を、業務用食品卸の中庄本店(京都府福知山市)が発売した。同社の社員が新規事業として、2021年7月から開発に着手。22年1〜2月にはクラウドファンディングで先行予約を受け付け、5月末からネット通販を開始した。どういった経緯で誕生したのだろうか。同社の管理栄養士である藤井由香さんに話を聞いた。
中庄本店が発売したのは、「ZuT(ずっと)溶けにくいアイス」だ。ジャージー牛乳を使用した「白」、ホールフルーツチョコレートの風味が豊かな「黒」、イチゴソースの香りが特徴的な「赤」を用意した。90ミリリットルのカップ6個入りを5000円(送料込み、以下同)、12個入りを8000円で販売している。その他、2リットル入りの業務用サイズなども取り扱っている。
溶けにくいアイスの仕組みを簡単に説明しよう。
同商品には、金沢大学名誉教授の太田富久氏と、アイスクリームの製造・販売を手がけるFULLLIFE(東京都新宿区)が開発した「イチゴポリフェノール」が使用されている。これは、イチゴ果実から抽出されたポリフェノールを核としたものだ。このイチゴポリフェノールに、中庄本店が海藻成分を独自に配合し、アイスクリームの保形性を向上させることに成功したという。このアイスは、時間が経過するとクリーム状になり、とろっとした食感が残る。
一般的な冷えたアイスクリームは、時間が経過すると水分と脂分が分離して溶けてしまう。一方、同社の独自配合によって、水分と油分の分離を防ぎ、溶けにくくした。
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