亀田興毅が“再興”するボクシングビジネス 「選手のファイトマネーを倍にする」:“価格破壊”起こす(2/5 ページ)
プロボクシングで悪役(ヒール)として知られた亀田興毅は今、業界の発展に尽力している。亀田が開催する8月14日のイベント「3150FIGHT vol.3」を前に、業界の課題や、それを解決するための取り組み、「ファイトマネー倍増計画」の真意を聞いた。
ジムの課題をプラットフォームで解決する
――3150FIGHTのプラットフォームとは、どんなものなのですか?
このプラットフォームは、全国のジムが利用できます。誰もが利用できるプラットフォームこそが3150FIGHTです。
先ほど申し上げたように、今のボクシングジムは興行もしますし、選手のトレーニングもしますし、マッチメークもします。その全てをジムの会長が、一人でこなさなければならないのが現状です。そしてジムの会長は、大半が元ボクサーです。
ジムの会長といっても、人によって、できることとできないことがありますよね。得意なこともあれば不得意なこともある。
試合を組めなかったり興行ができなかったりするジムも当然出てきます。そうなると、選手からしてみれば、興行が得意なジムに移籍したいとなりますよね。実際に、選手の育成に力を入れてきたのに、育て上げた時点の「いいところ」で、他のジムに移籍される事態が全国で起こっているのです。
でも、移籍すれば選手にとって必ず未来が明るいかというと、そうでもありません。ジムの会長に見いだされていないと、なかなか試合に出られないこともある。昔からそういうことが起こっています。これがジム制度の弊害なのです。
だから私は中立的な公平性のあるプラットフォームを作ろうと考えたのです。どこのジムに所属していてもいい。当社が世界戦まで試合を組んであげるのです。しかも華やかな興行をします。それは選手たちからしても、うれしいはずです。ファイトマネーも今までの相場の2倍以上にします。
――ファイトマネーは一般的にどのくらいなんですか?
日本のプロボクシングの場合、4回戦ボクサーで6万円程度、6回戦で10万円程度、8回戦で16万〜20万円といわれています。
先ほど申し上げたように、そもそもジムの会長はイベンターではありません。ライブイベントを作るプロではないわけです。興行をするのに、そこまでのリスクは負えません。だからファイトマネーを、選手に現金で支払う場合もあればチケットで支払う場合も多くあります。
6万円であれば12万円のチケットを渡すことによって、選手にファイトマネーを支払う場合もあるようです。そうなると興行側ではなく、選手がチケットを売って現金を作らなければならず、選手側が大きなリスクを負う図式になってしまいます。
――最前線に立つ選手にリスクを負わせるのは、非常に不健全に見えます。
選手たちはそのチケットを手売りで売って、その売り上げの中からマネジメント料として33%を所属ジムに支払います。
選手は皆、必死に練習もしていて、さらにチケットも自分で売らなきゃいけない。日本チャンピオンでもファイトマネーは100万円程度です。100万円だから200万円分のチケットをわたすのです。だからといって選手は200万円をもらったわけではないのです。200万円の紙をもらっただけです。ここに何の夢があるのでしょうか?
チケットが全部売れたらいいですよ? その間に練習もしないといけない。そしてチケットを売らないといけない。これはちょっとどうなのかな、と思います。だから私が立ち上げた3150FIGHTは、こちらからファイトマネーとしてチケットを渡すのを禁止にしました。そしてファイトマネーは基本的に全て倍にしたのです。
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