IT駆使して人気だった「ブルースターバーガー」なぜ閉店? プロが指摘する「接客不要」の落とし穴:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)
外食DXの成功例としてもてはやされた「ブルースターバーガー」。完全キャッシュレス、非接触のスタイルが画期的だった。行列ができるほど人気だったのに、なぜ全店閉店に追い込まれたのか。
テークアウト専門のハンバーガー店
ブルースターバーガーのシステムを説明しよう。
ダイニングイノベーションは完全キャッシュレスを実現するために、モバイルオーダー&ペイシステム分野で豊富な実績を持つ、Okage(東京都中央区)と共同で、独自のモバイルオーダーシステムを開発。
オリジナルアプリまたは、店頭のタブレットで、商品を注文して決済すると、受け取り番号が発行される。そして、受け取り時間が来ると、店頭にあるピックアップ専用棚より、セルフで商品を受け取る仕組みになっていた。
完全キャッシュレスなので、現金に触ったり、レジで待たされることもない(はずだ)。
全てITで完結するテークアウト専門のハンバーガー店として、業界に革命を起こすとしていた。
コストを削減した分だけ材料費に充てて、素材の鮮度と作り立てにこだわった、高品質なグルメバーガーを、カジュアルに楽しむことができる仕組みを構築した。
また、無駄な在庫や廃棄を省き、常に新鮮な食材が利用できる、Limited Supply Style(メニューを絞り、売り切れ次第販売終了)を取ることで、フードロス削減にも取り組んだ。
店内はテークアウトに特化した効率的なレイアウト。顧客はでき上がった商品をピックアップするだけなので、イートインスペースが不要。接客サービスも不要だ。
店舗面積が小さくても経営ができるため、賃料が最低限で済み、初期投資が安く抑えられる。ファストフードとして確立されたハンバーガーなので、職人技も不要なアルバイトで現場を回せるモデル。アプリ上で在庫と連動しているので、店舗発注の手間も抑えられている。FC展開に有利な要素がそろっているとした。
ちなみに西山氏は、中国で急成長するキャッシュレス決済のコーヒーショップ「ラッキンコーヒー」に行った体験により、ブルースターバーガーの着想を得たそうだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - なぜ女子の半分が泳いでないの? ジェンダーレス水着の開発者が語った“忘れられない光景”
フットマークのジェンダーレス水着が話題になっている。性の悩みだけでなく、さまざまな理由で「肌を隠したい」生徒のニーズに対応するのが狙い。開発者にその背景を聞いた。 - 最後の「アンナミラーズ」閉店の衝撃 超人気ファミレスが衰退した理由と、「かわいい制服」の果たした役割
アメリカンファミレス「アンナミラーズ」の日本に残る最後の店舗が閉店する。かつて絶大な人気を誇ったのに、なぜ店舗数が減っていったのか。背景を考察する。 - 290円ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体
朝食に力を入れる外食チェーンや飲食店の動きが目立ってきた。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」、タピオカや台湾料理の専門店「春水堂」などが参入している。どのような戦略を打ち出しているのか。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.