なぜ「ゾンビ企業」は宮崎に多くて、沖縄は少ないのか:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
帝国データバンクによると、日本に「ゾンビ企業」があふれかえっているという。実質、経営破綻しているような企業は、なぜ営業を続けることができるのだろうか。また、気になるデータがあって、それは……。
ゾンビ企業が増えていく「3原則」
そこで気になるのが、「沖縄県」ではないか。
沖縄は米軍基地があることで、国から「迷惑料」としての交付金や振興予算が多くでていることから、中小企業支援や融資なども充実しているイメージがあるだろう。また、家賃はそれほど低くないが、賃金水準が全国でも最低レベルなので、一見、ゾンビ企業が延命しやすそうな環境が整っているように思えるだろう。
だが、実は沖縄は「日本一後継者がいない県」でもあるのだ。先ほどの帝国データバンクの調査でも、21年は鳥取県に抜かされてしまったが、11年から20年まで後継者不在率が全国トップだったのだ。
手厚い支援や低賃金によって、ゾンビ企業がそれなりに生まれても、後継者がいないので「一代で終わり」となる。つまり、ゾンビ企業が世代を超えて承継されにくい環境なのだ。
さて、このような形でゾンビ企業が増えていく「3原則」が分かると、逆にゾンビ企業を減らしていく根本的な解決策も見えてくる。それは「バラマキ」をやめて、最低賃金をしっかりと引きあげていくことだ。
今、世界的にゾンビ企業が増えていることからも分かるように、バラマキは必ずゾンビ企業を増やしてしまう。もちろん、コロナ禍のような緊急事態に事業継続や労働者の賃金のために国が財政出動するのは当然だ。
しかし、日本のように「平時」になっても、それをやり続けていると経済は悪化するだけだ。膨大な数のゾンビ中小企業があふれかえるということは、その数だけで低賃金労働者があふれかえることなので、国内の消費はどんどん弱くなっていく。経済が循環しないのである。
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