ミートショックが仙台の「牛タン専門店」を直撃 一時は約3倍になった仕入れ値、どう乗り越える?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
牛肉の輸入価格が高騰している。仙台の牛タン専門店も、仕入れ値が急上昇しており、値上げなどの対応を迫られている。現場で何が起きているのか?
牛肉の輸入価格が高騰しており、焼肉店の経営を圧迫している。各種部位の中でも、牛タンの値上がりは半端なく、コロナ前の2〜3倍にもなるという。牛タンといえば、仙台名物。仙台の牛タン専門店は虫の息なのか。
仙台市観光課の担当者によれば、「人気店には普通に行列ができている。牛タンの店が次々に潰れたという話題も聞かない」という。心配するような状況ではないようだ。
JR仙台駅ビル3階には、仙台の人気専門店6店(たんや善治郎、味の牛たん 喜助、炭焼 利久、伊達の牛たん本舗、牛たんと仙台牛 伊勢屋、牛たん 焼助)が軒を連ねる「牛たん通り」がある。ランチ時にはどの店にも行列ができていて、にぎわっている。立地の良い仙台の玄関口にある有利さはあるが、この状況からは繁盛しているようにしか見えない。
仙台の牛タン業者15社110店が加盟する、「仙台牛たん振興会」(事務局・宮城県富谷市)に話を聞くと、「各社の在庫の問題などもあるが、昨年の6月から10月にかけて値上げをした。現状はコロナ前の80%くらいの集客にまでは戻した」(事務局の小野博康氏)という。ピンチを切り抜けて、もうあと一歩にまで戻った感触だ。今はまた新型コロナの第7波が来ているが、感染拡大が落ち着き、インバウンドも再開されれば、売り上げをコロナ前に戻せる目途が立ってきた。
しかし、仙台の専門店で牛タン炭焼を堪能しようと思えば、お得なランチでも2000円近くする。夜はお酒も合わせれば4000〜5000円くらいかかる。仙台市民が気軽に楽しむには値段が高くなりすぎており、メインの顧客層は完全に観光客や出張族になってしまった。
「焼肉店やスーパーならば、牛タンはアイテムの1つ。われわれ専門店は牛タンしかないから、使わざるを得ない。牛タンの市況は、コロナ前には2.5〜3倍になったこともあった。その頃よりは緩んでいるが、今も1.5倍くらいで高止まりしている」(同)と、原材料価格の高騰に頭を悩ませている。
「牛タンは、寿司やウナギに匹敵する高級料理になりつつある」(同)と、庶民の味から遠ざかろうとしている現状には、忸怩(じくじ)たる思いがあるようだ。
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