ドムドムハンバーガー驚異の復活 風向きを変えた「3つの出来事」:あの店は今(1/4 ページ)
「このままなくなってしまうではないか」と悲観されていた、ドムドムハンバーガーが復活し注目を集めている。最盛期の90年代には全国400店以上にまで拡大したものの、閉店が相次ぎ30店舗以下に。しかし、2020年度から最終黒字に転じて息を吹き返し始めた。その背景には何があったのか──?
「このままなくなってしまうではないか」と悲観されていた、日本最古のハンバーガーチェーンが復活し、注目を集めている。
1970年、マクドナルド日本上陸の1年前に誕生した「ドムドムハンバーガー」だ。最盛期の90年代には全国400店以上にまで拡大したものの、閉店が相次ぎ、一時は27店舗まで減少。ブランドの存続が危ぶまれていた。しかし、2020年度から最終黒字に転じ、息を吹き返している。
この復活劇の立役者として、業界から注目されているのが藤崎忍社長だ。新橋で居酒屋を2店舗経営していた手腕を見込まれ、ドムドムハンバーガーへ引き抜かれた異色の経歴の持ち主だ。
わずか9カ月で社長に就任 「熱意を買ってもらえた」
藤崎氏は17年秋に商品開発担当としてドムドムフードサービスに入社した。当時、同社はダイエーグループから事業再生に強みを持つレンブラントホールディングスに買収されたばかり。ドムドムを再生させようという機運は高かったが、実際の店舗の営業力は低い状態だったという。
入社後、新店舗の店長や東日本16店舗のスーパーバイザーを兼任していた藤崎氏。18年3月期の決算数字を知り「このままでは、事業再生できない」と強く思った。
そこで、藤崎氏は「『意見を言える立場』である役員にしてください」と上層部に掛け合った。まだ入社数カ月で、実績もないので難しい──と断られるも、彼女は諦めずに改善点を資料にまとめたり、電話で思いを語ったりと、アタックを続けた。こうした熱意が実り、わずか入社9カ月で社長に就任することになった。
「今見返すと、当時の書類はたいしたものではなく、稚拙な部分もありました。ずうずうしく『役員にしてください』と伝え続けた、その熱意を買ってもらえたのだと思います」
藤崎氏が社長に就任してから心掛けたのは、現場の従業員との密接なコミュニケーションと、原価率や人件費をはじめとする店舗の運営数字の改善だ。
「お客さまに相対しているのは現場のスタッフなので、現場の声をしっかり聞こうと考えました。本社の営業施策や商品開発の意図も、優しく丁寧にスタッフに伝えようと心掛けました。コロナ禍前はスーパーバイザーも兼任していたため、週のうち4〜5日は現場に出向いていました」
こうした改善により、店舗で特に課題とされていたクレームの件数も減少。徐々に客足が増え、売り上げが改善し、従業員のモチベーションも高まっていったという。その後、20年度には、念願の最終黒字化を達成した。
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