よみがえったドムドムハンバーガー 3倍の「100店舗を目指さない」ワケ:あの店は今(1/2 ページ)
経営難から復活、2020年度から最終黒字にV字回復したドムドムフードサービス。藤崎社長に今後の出店戦略を聞くと「100店舗を目指さない」と話す。ドムドムを再生させた彼女の経営指針とは──?
1990年代、全国に400店舗を誇ったハンバーガーチェーン店「ドムドムハンバーガー」。閉店が相次ぎ、店舗数が30店舗以下となったため一時は“絶滅危惧種”と呼ばれブランド存続の危機にあった。
2017年にダイエーグループ傘下から、事業再生に強みを持つレンブラントホールディングスに買収されて再生に乗り出した。「丸ごと!!カニバーガー」などのユニークなメニューが話題になり、20年度からは黒字に回復した。
この復活劇の立て役者であるドムドムフードサービス藤崎忍社長に、店舗の出店方針や経営の指針について話を聞いた。
店舗数は「お客さまにとって関係がないこと」
ドムドムハンバーガーの店舗数は、現在29店舗。今年は2店舗を新規に出店した。藤崎氏に今後の出店戦略を聞くと、開口一番に「100店舗を目指すとか200店舗を目指すとか、そういった戦略は全く考えていません」と言い切る。
「チェーン店の社長をしていると、店舗数の目標をまず聞かれます。でもそれは“会社側の都合”ですよね。全国に何店舗あるかというのは、お客さまにとってはあまり関係がないことだと思うんです。もちろん多くのお客さまに食べていただきたいので店舗開発はしていきますが、われわれは必要とされるお客さまにとってオンリーワンの店舗になれるような、出店や店舗づくりをしたいと思っています」
この信念を象徴するような出店が2つある。コロナ禍に決行した東京の「浅草花やしき店」、千葉の「市原ぞうの国店」への出店だ。
「これらは、コロナ禍で人が集まらなくなった場所へ出店しています。コロナ禍で観光地が頑張っていくことが社会貢献になる。それを一緒に作り上げられるような会社になりたいという思いで、出店を決めました。このように、どんな意味があるかを考えて出店しています」
店舗ごとに商品も変えている。「浅草花やしき店」ではレトロな雰囲気に合わせ、昔ドムドムの人気商品だったコロッケバーガーをアレンジした「浅草コロッケバーガー」を販売している。さらに、浅草花やしきがアニメとのコラボイベントを実施する際は、そのアニメをイメージした商品を開発するなど、「浅草花やしき店」の独自性を出した商品を取り合わせている。また、「市原ぞうの国店」では千葉の特産品を活用。ソウルフードであるみそピーナツを用いた「味噌ピーチキンバーガー」を販売している。
他店でもメニューは統一しておらず、出店戦略に合わせて商品は少しずつ調整しているという。
直近では、銀座に新業態の「ドムドムハンバーガーPLUS」を出店した。これは「日本で食べられる本当においしいハンバーガー」を追求する店舗で、かつて「ドムドムin六本木」というイベントで好評だった和牛のパティと国産米の米粉で作ったバンズのハンバーガーを主力商品としている。
藤崎氏は出店に関して「(坪面積や売り上げ規模、商圏人数といった)一般論で判断することも、もちろんあります。ただ『こうでなくてはいけない』という決まりは設けていません」と説明する。ただし「結果としては、花やしき店でもぞうの国店でも、とても良い出店となりました」と胸を張る。
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