23年間、お疲れさま! お台場の観覧車で、どんな「16分」を過ごしたのか:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
8月末、東京・お台場のシンボルが消える。再開発に伴って、「パレットタウン大観覧車」が解体されるのだ。23年間運営してきて、これまで約2100万人を乗せてきたとか。歴史を振り返ると、多くの人を“幸せ”にしていたようで……。
人の心をドキドキ
他の観覧車は、どうなっているのだろうか。行列ができてくると、1人でも多くの人を乗せるために相乗りをさせる、ところもある。相乗りしたことがある人は、「うんうん」とうなずいてくれると思うが、ゴンドラの中で他人と一緒に過ごす時間は「微妙」である。
1ゴンドラに2カップル(計4人)が乗った場合、どのように座ればいいのか問題が発生する。カップルは向かい合えばいいのか、隣のほうがいいのか。6人乗りで、こちらは2人、他人は4人の場合も大変である。少数派になるので、肩身が狭くなる。なにをしゃべっているのかを聞かれてしまうので、必然的に声のトーンが下がってしまう。
つまり、何が言いたいのか。大観覧車を運営しているサノヤス・ライド社が、「どんなに混んでいても、相乗りはさせない!」という方針を貫いたことによって、ゴンドラの中で“告白できた”人が多いのではないだろうか。いや、絶対にそうである。
さて、「プロポーズをする人が多い」となれば、会社として何か手を打ちたくなるものである。イベントを実施したり、期間限定のキャンペーンを展開したり、あの手この手を使ってカップルを集客したくなるはずだ。これまでどのようなマーケティングをしてきたのかを聞いたところ、「いえ、特になにも……」(栗原さん)という。
16分の時間と狭い空間を提供するだけで、あとはなにもしない――。そんな“愛乗り戦略”によって、人の心をグルグルではなく、ドキドキさせてきたようだ。
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