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技術の限界? 川崎の「世界一短い」エスカレーターはなぜ生まれたのか:海外からも訪れる名スポット(2/2 ページ)
川崎市のJR川崎駅地下街に、「世界一短い」とギネス認定されたエスカレーターが存在する。高さ83.4センチ、段差はわずか5段。愛称は「プチカレーター」。これを目当てに訪れる海外の観光客もいるなど、ちょっとした名所になっているという。なぜ、これほど短いエスカレーターを造ったのか。いかにして、名所に進化させたのだろうか。
エスカレーターは日立製「技術の限界に近い短さ」
世界一短い「プチカレーター」を施工・管理しているのは日立ビルシステム(東京都千代田区)。同社によると、これより短いエスカレーターは過去に製造したことがないという。エスカレーター内部には安全装置などさまざまな精密機器を配置する必要があり、構造上の制約が多い。担当者は「プチカレーターが恐らく技術的にも限界に近い短さではないか」と指摘する。
話題性の高さから、同社もプチカレーターを積極的にPR。設置された1989年10月から90年頃にかけて、同社が制作したテレビCMにもプチカレーターが登場したという。
自治体も「現代の産業文化財」としてPR
企業だけでなく、自治体もPRに動く。川崎市川崎区は03年以降、同区を特徴づける建物や機械、設備などを、技術や文化の継承を目的に「かわさき産業ミュージアム」として登録。公式Webサイトなどで周知し、市民が気軽にアクセス・見学できる仕組みを作っている。
この中で、プチカレーターも区の特徴を物語る「現代の産業文化財」と位置づけ、紹介している。
工事着工後のハプニングから、思いがけず誕生した世界一短いエスカレーター「プチカレーター」。有用性を超え、ユニークさに焦点を当てた企業や自治体のPRが、海外からも目当てに観光客が訪れるスポットへと進化させている。
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