社長が連れてきた「すごい人」は役立たず!? DXを失敗に導く7つの要素:成功するには?(5/5 ページ)
「DXに出遅れたものは敗者となる」と焦る企業は多い。一方で、DXに成功している企業は少ないと筆者は主張する。その原因は?
求められる経営者の関与
(7):経営者の理解・関与不足
最後にトップの理解・関与について触れます。
ある大手小売業では、毎週2回、社長・取締役とのミーティングが行われているそうです。そしてそのミーティングは全社員がリモートで参加することが許されており、議事録は全社員に共有されます。風通しが良く、高い頻度のコミュニケーションをしており、経営者が積極的に関与しているという点で、大変模範的な例です。
一方、経営者がDXに関与するのは半年に一度、しかも社員から報告を受けた場で指摘をするのみというケースもあります。これでは、執行役員をはじめとした現場社員は社長にお伺いをたて、否定されない資料作りに奔走し、顧客ではなく社長を向いて仕事をしていることになります。経営者にDXの知見があまりない場合、このような状況に陥ることが多く見受けられます。
経営者を巻き込み、経営者自身が積極的にDXの要点を理解し、上から指摘・否定するのではなく、現場を支援してけん引するようなスタンスが理想です。その際、ITの複雑なフローを示す必要はありません。どういった経営課題が解決されるか、どのような理想的な状態になるのか、その数値的インパクトはどれくらいかといったことをシンプルにおさえて経営者とコミュニケーションを取ることが重要です。それが明確になっていれば、投資に対する可否判断もしやすく、会議が混沌とすることは避けられるはずです。
DXに失敗すると、経営にとっては大きな痛手となります。金銭的なコストだけでなく、社員がかけた時間が無駄になるのです。また、顧客に対して、いつまでたっても利便性や新たな価値が提供されないという状況が続きます。
だからこそ会社全体の最重要テーマのひとつとして捉え、今回お伝えした内容を踏まえてDXを推進することを推奨します。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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