都会から移住、朝食屋に行列 『鎌倉殿の13人』で注目の「鎌倉」で何が起きているのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が話題になっている。鎌倉市では観光客向け施設を出店する動きがある一方で、都会から移住する人も目立っている。
NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が佳境を迎えている。地元の鎌倉市では、大河ドラマの経済効果に期待し、メインストリートの小町通りや海岸の材木座、七里ヶ浜を中心に、新しく飲食店、土産物店、ホテルなどの観光客向け施設を出店する動きが活発だ。
2021年12月1日にオープンした「トライアングル七里ヶ浜」は、入居する5店が全て相模湾の雄大なオーシャンビューが望める飲食施設となっている。鎌倉駅西口に、20年11月13日にオープンした「KAMAKURA HOTEL(カマクラホテル)」は宿泊者を対象に、茶室のような和のプライベート空間でサウナを楽しめるという新しい切り口で、差別化を図る。
全国でもトップ5に入るほどの参拝者数を誇る、鶴岡八幡宮の境内には「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」が設置されている(22年3月1日〜23年1月9日の期間中「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」を転用)。8月15日には入場者数が延べ13万人を突破した。
鎌倉市街にはホテルが少なく、横浜、箱根、東京に宿泊して、日帰り観光を楽しむ人が多い。そのため、午後7時以降、極端に人通りが減る傾向が強い。一方で、朝早くから動く人が多いので、独特の朝食文化が発達している。鎌倉駅東口の「朝食屋COBAKABA(コバカバ)」や、稲村ヶ崎の「ヨリドコロ」のように、午前7時から店の前に行列ができる店もあるほどだ。
また、コロナ禍によりテレワークが普及したことで、東京から鎌倉を含めた湘南エリアに移住する人が増えている。特に鎌倉は、海が山に迫る風光明媚な土地柄で、歴史も古く、心安らぐ社寺仏閣も多い。リゾート気分を満喫しつつ落ち着いて仕事ができる、ワーケーションの移住先として人気が高い。
鎌倉市役所によれば、「コロナ禍になってから市外から転入する人が多い」という。鎌倉市は65歳以上の高齢化率が31%ほどになり、全国平均の約28%よりも高い。全国的な傾向として高齢化率の高い地域は、人口が減る一方という傾向が強い。しかし、鎌倉市の場合は人口減に歯止めがかかって、増加基調にある。
鎌倉市の人口は、19年には17万2262人だったが、2年連続の増加している。21年は17万2772人であり、500人ほど増えた。
大河ドラマを契機に、コロナ禍で苦戦していた観光業を盛り上げようとする一方、ワーケーションの拠点としても注目を集める鎌倉の現状を探った。
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