スイーツにおつまみ……進化する「おせち」 高額でも売れているのはなぜ?:メリハリ消費が定着(3/3 ページ)
巣ごもり需要を背景に、おせちの売り上げが好調に推移する中、各店は元旦の「おせち料理」だけでなく、「おつまみおせち」や「スイーツおせち」といったバリエーション豊かな商品をそろえ、年末年始の食卓をトータルでアレンジしようと動いている。
高額な商品なぜ売れる?
百貨店のおせち料理といえば高価な印象を受けるが、意外にも消費者の購入意欲は高い。ハースト婦人画報社が9月1日に公表した、20〜69歳の女性約1000人を対象としたアンケート結果によると、約半数にあたる46.6%が来年のお正月用におせちを「購入する」と回答した。
購入予算の平均額は2万9964円と比較的高めで「自宅で作れないような品目が味わえる」「華やかで高級感がある」「自宅まで送り届けてもらえて便利」――が購入理由の上位3位を占めた。
予算の内訳を見ると、約7割にあたる66.7%が「1万円以上3万円以内」と回答。一方で「10万円以上」と答えた人も3.3%いた。
高額なおせちでも売れ行きが好調な理由について、大丸松坂屋百貨店の広報担当、長野美幸さんはこう話す。
「近年は特に若い世代を中心に、お金の使い方にメリハリがついてきている。普段は堅実でも、年末年始など大切なイベントにはお金を出して豪華なものを食べるといった『メリハリ消費』の傾向が見られる」
おせちの購入方法にも変化が見られる。ハースト婦人画報社の調査では、おせちの購入場所は「オンラインショップ・ネットショップ」(46.9%)が「デパート・百貨店の実店舗」(46.1%)を僅差で上回りトップとなった。
大丸松坂屋百貨店だけで見ると、ネットショップ(EC)でおせちを購入する割合は、2017年度の22%から21年度は45%と5年間で23%もアップ。反対に店頭での購入は54%から36%へと減少している。同社は「おせちの主戦場はECに移った」と指摘する。
ネットショップがおせち販売の主戦場となり、各社はSNSや動画投稿サイトでの発信にも注力する。SNSを利用する若い世代にも届き、おせちの購入意欲を高めている側面もあるとみられる。
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